京都市議会 > 2012-10-02 >
10月02日-04号

  • "バス"(/)
ツイート シェア
  1. 京都市議会 2012-10-02
    10月02日-04号


    取得元: 京都市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-07-19
    平成24年  9月 定例会(第4回)       平成24年第4回                 京都市会会議録 第4号       (定例会)                    平成24年10月2日(火曜日)出席議員(69名)   1番 江村理紗議員   2番 中島拓哉議員   3番 佐々木たかし議員   4番 片桐直哉議員   5番 清水ゆう子議員   6番 森川 央議員   7番 大西 均議員  11番 村山祥栄議員  12番 国本友利議員  13番 青野仁志議員  14番 松下真蔵議員  15番 青木よしか議員  16番 山本ひろふみ議員  17番 島本京司議員  18番 椋田隆知議員  19番 桜井泰広議員  20番 下村あきら議員  21番 宮田えりこ議員  22番 加藤あい議員  23番 西村善美議員  24番 とがし 豊議員  25番 平山よしかず議員  26番 吉田孝雄議員  27番 湯浅光彦議員  28番 曽我 修議員  29番 天方浩之議員  30番 中野洋一議員  31番 隠塚 功議員  32番 山元あき議員  33番 西村義直議員  34番 吉井あきら議員  35番 田中明秀議員  36番 山本恵一議員  37番 西野さち子議員  38番 玉本なるみ議員  39番 くらた共子議員  40番 河合ようこ議員  41番 樋口英明議員  42番 久保勝信議員  43番 津田早苗議員  44番 井上教子議員  45番 大道義知議員  46番 ひおき文章議員  47番 谷口弘昌議員  48番 山岸たかゆき議員  49番 安井つとむ議員  50番 宮本 徹議員  51番 中川一雄議員  52番 寺田一博議員  53番 津田大三議員  54番 田中英之議員  55番 中村三之助議員  56番 橋村芳和議員  57番 山中 渡議員  58番 倉林明子議員  59番 井坂博文議員  60番 北山ただお議員  61番 岩橋ちよみ議員  62番 井上けんじ議員  63番 今枝徳蔵議員  64番 小林あきろう議員  65番 鈴木マサホ議員  66番 小林正明議員  67番 加藤盛司議員  68番 繁 隆夫議員  69番 富 きくお議員  70番 内海貴夫議員  71番 井上与一郎議員  72番 高橋泰一朗議員欠席議員(なし)   議事日程   開議日時 平成24年10月2日(火)午前10時   一般質問 (1) 市政一般について  安井つとむ議員 (2) 市政一般について  青木よしか議員 (3) 市政一般について  天方浩之議員 (4) 市政一般について  大道義知議員 (5) 市政一般について  湯浅光彦議員 (6) 市政一般について  国本友利議員 (7) 市政一般について  江村理紗議員 (8) 市政一般について  佐々木たかし議員 (9) 市政一般について  清水ゆう子議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時開議〕 ○議長(大西均) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。島本京司議員ととがし豊議員とにお願いいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) この場合,議長から御報告申し上げます。 今回受理いたしました陳情31件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に回付いたします。 以上,御報告申し上げます。御了承願います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) 昨日に引き続き,これより一般質問を行います。発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,安井つとむ議員。 〔安井つとむ議員登壇(拍手)〕 ◆(安井つとむ議員) おはようございます。民主・都みらい議員団伏見区選出の安井つとむでございます。今市会におきましては,青木,天方議員と共に市長並びに関係理事者に対しまして,今市会に上程されています平成23年度決算並びに市政全般について質問いたします。市民の皆様方に対しても,明瞭な答弁を求めておきたいと思います。 平成23年度当初予算は,門川市政1期目の総仕上げとして,「生活安心・はばたけ未来予算」と名付けられ,特に重点施策として子育て支援におきましては,24年度当初保育所待機児童ゼロの実現をはじめとして,保育所整備,昼間里親制度や病児・病後児保育の拡充,保護者の要望実態に合った延長,そして休日保育の拡充を図るとともに,民間保育園,保育所エコ改修への助成,第二児童福祉センターの整備,また,政令市で初めての取組として母子手帳交付時の全妊婦面接,そして初妊婦等への全戸訪問と共に不妊治療費助成の拡充等を進め,高齢者福祉におけます介護基盤整備助成につきましても前年度予算の2倍を確保するなど市民要望に対応したものでありました。 〔大西議長退席,山岸副議長着席〕 ◆(安井つとむ議員) (続)中小企業や地場産業を支える施策としても融資制度預託金の新規枠2,000億円を確保するとともに雇用創出のための70事業を展開していくものでありました。本市は,これまでも環境モデル都市として,我が国のみならず世界を牽引する地球温暖化対策と低炭素社会を目指す施策を多く展開してまいりました。全区役所・支所管内におけます低炭素モデル地区エコ学区事業,そして産学官連携によります研究会でのスマートシティ京都プロジェクト次世代自動車普及推進に向けたソーラー発電付き充電設備の増設,商店街街路灯のLED化の推進,環境学習事業,小学校,公園等の活用による移動式回収モデル事業による資源ごみの新回収システム構築等が進められてきました。とりわけ淀水垂埋立処分地におけますメガソーラー発電所,大規模太陽光発電所の設置による次世代のエネルギー創出の先駆けとして,自治体初の施設として全国に向け発信することができ大きな効果と成果を得るとともに,9月24日には地元明親小学校におきまして事業者の協力を得て環境授業が実施されました。「エネルギー問題について子供たちにも新しい知識が生まれた」と報道されたところでございます。施設受入れに際しての地元各位の御理解と協力に心から感謝申し上げるところであります。その後の上下水道局におけます太陽光発電設備の設置をはじめ門川市長におかれては指定都市自然エネルギー協議会会長として自然エネルギー再生可能政策導入のリーダーとして,本市においても更に太陽光発電施策の拡大を図るべきと考えます。 そこで,お尋ねいたします。過日泉佐野市におきまして公立小中学校屋上スペースを民間企業に有料で貸し出し,太陽光パネル設置事業が発表されたところであります。厳しい財政の中,財源確保と再生可能エネルギーの利用促進による一石二鳥の効果が期待されております。校舎や体育館などの屋上を対象として募集を受け付ける,そして工事費用とその後の維持管理は企業負担とし,市独自の計算で使用料を設定いたしまして,年間を通じ収入を見込むものであります。その収入は,学校修繕費等に充てるとされております。本市においても同様の考えが言えると思います。特に耐震補強についても年々実施され,その事業も完了しているところであります。平常時はもとより災害非常時にその電源が使用可能となるならば主たる避難所となる小中学校においても有意義な施設と考えられるわけであります。そこで今,市内にある公立小中学校をはじめとした公共施設を利用した太陽光発電制度の導入を考えるべきと思いますが,市長に答弁を求めておきたいと思います。 次に,人と公共交通優先の「歩くまち・京都」総合交通戦略の推進と共に四条通歩道拡幅への詳細設計,長年の課題でありました京都駅南口駅前広場の整備促進,京都御苑周辺道路歩行空間の改善,公共交通ネットワークの連携強化による便利なまちづくり,駅等のバリアフリー促進をはじめ地下鉄京都駅にぎわい創出に向けた商業エリアの充実等が図られてまいりました。また,新たに京都創出の向けた京都市基本計画「はばたけ未来へ!京プラン」の発信に向けた新しい計画の策定,各行政区の次期基本計画の推進,京都会館整備を中心とした岡崎地域活性化事業,また,京都三山の再生や電柱の地中埋設化をはじめ観光地での石畳舗装維持整備補修や観光案内標識のアップグレード事業,観光庁との連携強化による共同プロジェクトの立ち上げ等の推進,新京都動物園構想の推進,そして京都マラソンの開催,市立体育館改修に向けた整備,下鳥羽球技場の人工芝全面張替え等,都市基盤整備,文化,観光,スポーツの充実に向け積極的に展開を図っていくものでありました。 また,都市間友好交流事業につきましても,昨年9月クロアチアのザグレブとの姉妹都市提携・交流30周年,また,ウクライナのキエフ姉妹都市交流40周年事業も進められました。私も副議長在任中に代表団の一人として門川市長に同行し,直接その友好事業に携わることができました。また,市民参加の友好親善団体の皆さんと共に,その成果を得ることができたわけでございます。特に長年にわたりキエフとの芸術交流としてバレエを通じこれまでも大きく貢献されてまいりましたキエフ国立バレエ学校姉妹校であります寺田バレエアートスクールが果たされてきた役割は特筆されるものであり,両市において大きな評価を得ているところであります。その後,ポポフキエフ市長も,我々の訪問後の11月に早速入洛され,今後の更なる友好と各分野における事業の協調が約束されました。来年度はドイツのケルン姉妹都市50周年の年であります。事業の成功に向けて取り組まれるよう期待する次第であります。 教育関連事業につきましては,東山南部地域総合東山泉小中一貫校の設置をはじめ小中学校や総合支援学校での増収容対策,幼稚園での空調機設置,また,小中学校での空調機の更新など災害時には緊急避難施設としてその活用が求められる体育館の老朽化調査等が進められてまいりました。また,新規重点施策として採択されたものの,決算状況を見ると執行率が1パーセント未満,また,20パーセントから30パーセントと低いものもあるわけであります。残額は不用額として処理されているもの,また,全額若しくは全額に近い予算額が繰り越されているものもあり,平成24年度事業として執行されているものの,厳しい財政状況をかんがみると,その年度で重点施策の役割を果たしているかどうか考えさせられるところであります。今後の新規事業の予算化に向け課題を残していることを指摘しておきたいと思います。 平成23年3月11日午後2時46分に発生いたしました東北地方太平洋沖地震は大津波を伴い,平成24年4月現在,死者1万5,857人,行方不明者3,059人,負傷者6,029人,全半壊家屋は約38万5,000戸余に上るとされております。その傷跡は癒やされることなく1年半が過ぎ,被害から復旧,復興に向け事業が進められているものの,まだまだ緒に就いた状況と言えます。過日,仙台市を調査訪問したとき,門川市長を先頭に本市職員一体となった支援事業に対し多くの方から感謝のお言葉をいただきました。今後も引き続き支援事業が図られるよう強く要望しておくところでございます。ほぼ同時に被災いたしました東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故による放射性物質の大量放出は,国内のみならず国際社会へも大きな衝撃を与えました。かつて豊かな自然と温暖な気候に恵まれ,人と人が支え合い人のきずなが息づく周辺のまちの多くが原発事故により,まちの復興はもとより今後も居住できない現状があることは国民全体が承知していることと思います。本年4月に全町民2万1,434名が全国にわたり避難生活をおくっておられる福島県浪江町から議会文教厚生常任委員会,委員長以下6名,計7名が本市を訪問されました。全国の被災地の避難の皆さん方を回り,避難されている町民の意見,要望を聞き,それぞれの自治体へお願いをするということでありました。本市に対しましては放射能汚染への不安と共に放射能残留測定には福島へ戻らなければならないとのことであり,就職をしても休暇を取り行かねばならない。また,本市において測定可能状況にはならないのかということであります。 もう一方,住宅問題についても,公営事業の対応から民間住宅地の借上げを望む声が大きかったと伝えられました。9月現在,市営住宅入居数は81戸220名であり,民間住宅借上げ住宅入居は23戸46名となっています。福島原発事故から1年半を経過した今,避難住民の皆さんの状況をどう本市は把握してどう対応しているのか答弁を求めておきます。あわせて,本市では入居から最長3年とされ,入居期間も短い方では残りあと1年半となりました。必ずしも無償での入居期間を延長することを求めてはおられませんが,期間終了後,引き続き市営住宅に居住し続ける条件が整備されているかどうか,また民間住宅借上げについても同様の条件が整備されているのかどうか。安定した生活の基本となる住宅の確保は必須条件であります。このことについても答弁を求めておきます。 次に,関西電力大飯原子力発電所第3,第4号機の運転再開は,国内外に大きな波紋を巻き起こしました。様々な議論がある中,結果的に運転再開は複雑な社会環境の下で進められてまいりました。門川市長におかれては,大阪市,神戸市と共同して平成24年2月27日,関西電力に対し,関西電力における今後の経営について,原子力に依存しない電力供給体制などに関する考え方についての意見書を提出されました。しかし回答としては原子力発電所の存在を肯定する内容のものでありました。引き続き7月25日の株主総会においても,株主提案として脱原発依存と安全性の確保及び事業形態の革新,原子力発電の代替電源の確保などについて定款の一部を変更するよう議案を提出しましたが,いずれも否決される状況に至りました。また,9月7日に関西電力から,「この夏の節電期間の終了に当たって」との文面が出されております。猛暑日が続いたものの利用者の節電効果が従来の節電を大幅に上回ったこと。供給面においては,大飯原子力発電所3,4号機の再稼働は必要不可欠と述べられております。こういったことに先立ちまして,福島原発における事態や対応を踏まえ,本年3月に原子力安全委員会が原子力施設からおおむね30キロメートル圏内を緊急時防護措置を準備する区域(UPZ)とする中間取りまとめを公表されたところであります。これに基づき,居住者はおられませんが,市最北部山間地が該当する本市におきましても,147万人市民の安心安全の確保を使命として,万が一原発の事故発生に伴う放射性物質による市民の健康被害を最小限に防ぐために講じる施策を定めるとして,平成24年3月,京都市原子力発電所事故対応暫定計画が策定されました。この暫定計画は,稼働している現状を予測しての計画設定であり,稼働を再開した現在,平常時の安全対策として事業者に対し求めるべき点は多くあると考えます。暫定計画策定に至る経過の中で,これまで門川市長は事業者に対し様々な意見や提案をされてまいりました。今なおその姿勢は継続されているとお伺いしております。そこで,暫定計画策定に際し,関西電力からどのような情報が発信され提供されたのか。また,原発の安全対策として何が示されたのか。平常時の大気,水道水,農産物,河川水,そして土の性質についてのモニタリング体制をどう構築するについて,どのような協力があったのかどうかお答えを求めておきたいと思います。 今,本市が独自で平常時大気モニタリング5基,これは可動式のサーベイメーターというものでありますが,1基約30万円から40万円するということであります。これが設置され既に稼働しているところであります。京都府においても3基のモニタリングポストが本市同様稼働しているところであります。また,本市の上下水道局におきましては,水道原水及び水道水の放射性核種の測量におけるゲルマニウム半導体検出器,これは1基約1,500万円と言われております。それが導入され既に測定に関わっております。検出器の導入により放射性ヨウ素,放射性セシウム等の個別の放射性物質の濃度を測定できるようになりました。測定対象については水道事業,地域水道事業及び京北地域水道事業の代表箇所の水道原水及び水道水まで範囲を拡大し測定されております。今後も引き続き日常的に測定が継続していきます。市民の生活と安全を守る視点から,本市が担うところの事業と,事業者として周辺の安全対策として担うところはそれぞれが分担すべきだと考えます。この度,9月19日に原子力規制委員会設置法が施行され,原子力規制委員会と原子力規制庁が設置されました。法律の施行に伴い6箇月後には平成25年3月18日までに本市においても地域防災計画原子力災害対策編を策定していくこととなります。その計画策定に当たっては,これまでのことを踏まえて二重の安全対策,いわゆるダブルフェールシステム構築に向け,事業者である関西電力にも役割と相応分を分担させるよう協議すべきと考えますがいかがですか。御答弁を求めておきます。 次の質問に移ります。本市上下水道局は,明治45年,1912年4月,蹴上浄水場から給水を始め創設100周年を迎えました。先人が起こされた事業は今日まで多くの人の手により脈々と受け継がれてまいりました。その苦労もひとしおのことであったと推察いたします。しかし,市民のライフラインの根幹の一つとして安全安心の水,更に安定した水の供給に向け日々,管理者を先頭に職員一丸となって事業進捗に努力しておられます。また,貴重な財産である水道水を後世に継承していくことを願うところであります。特に平成23年度は「京の水ビジョン」前期5年計画中期経営プラン(2008~2012)に基づき事業の着実な推進と共に経営の効率化,財政健全化に向けの取組を進めてまいりました。しかし,水需要は長く続く景気の低迷と節水型社会の進展により依然として低迷状況にあります。料金収入も前年比でマイナス2パーセント,7億9,000万円,下水道におきましてもマイナス2.2パーセント,5億5,200万円の減収となったものの,給与や物件費の削減,支払利息の削減に努め水道事業は5年連続の黒字決算となり,下水道事業も2年連続の黒字決算となりました。しかし,両事業の今後の展望は厳しく,後期5箇年の中期経営プラン策定についてはなお一層厳しい内容になると予測されております。 毎年のように起こる市内での経年配水管の破損事故。そのつど市民生活に大きな影響と多くの損害を与え,その対応についても市民からの苦情となっております。昨年6月,西京区内での漏水によるガス管破損事故は非常に甚大な被害を及ぼすこととなりました。酸性土壌が事故の要因とはいえ,大阪ガスへの被害補償総額は10億円に上り,この事故により平成24年,25年の2年間に総額40億円を掛け全域における布設替えを早期に実施することにもなりました。しかし,まだまだ市内には古いものがございます。その対応は急がれるものであり,毎年計画的に事業が行われるものの,その進捗は遅く,目標を設定し直し一時的にも多額の資金を投入し,やり遂げる方法を考えるべきだと思います。思い起こしますと建都1200年記念事業は下水道整備100パーセントを掲げ,その事業進捗を成し遂げた実績であります。当時の社会経済情勢の違いはありますが,5年に一度の料金改訂や,後年度負担とした建設債の償還はあるものの,あのときに事業を進めていなければ今ごろ下水道の整備率は低く,市内での掘り起こしが続いていると予測されます。平成23年11月の第1回を皮切りに,上下水市民サポーターや学識経験者を中心として構成されております京都市料金制度審議委員会が回を重ね第6回を終えたところであります。昭和56年から設定をされました今の料金制度を見直すため幅広い論議が進められております。特に施設の維持管理費用をどのように回収するかについても意見が出されていたところであります。経年管の布設替えについては待ったなしの状況であります。是非次の中期経営プランの中で,経年管の取替事業をしっかりと強く打ち出し,市民の皆さんにもこの事業の意義を十分に理解していただくとともに,負担についても率直にお願いしてはどうかと思っております。 次に,南部地域バス検討協議会における新規バス路線の検討問題について質問いたします。平成15年に着工いたしました京阪淀駅高架化事業もこの8月に高架躯体が完成いたし,今,諸設備の整備に進んでいるところであります。年明けから駅前広場,側道の整備が始まると伺っておりますが,新設の北口出入口も10月29日始発からのオープンと発表されております。平成25年度京阪淀駅前広場や側道整備と共に隣接の長岡京市における阪急の新駅の設置を迎える時期となりました。平成25年度内開業を目指して着々と事業が進んでいるところでございます。京阪淀駅と阪急西山天王山駅を結ぶ公共交通機関の開設は,当該地のみならず市内伏見区を中心として宇治市,八幡市,久御山町,長岡京市,大山崎町の範囲に及ぶものでございます。こういった中にも,今回横大路での専用球技場の誘致が進んでおるわけであります。その観客輸送の大きなルートの一つでありますこの公共交通の路線の確保につきまして,是非京都市が中心となって,この試験運行も取り入れていただくようお願いいたします。いかがでございますか。 時間となりました。あと一,二問あるわけでございますけれども,頂きました時間が参りました。質問についてはこの程度で収めておきたいと思います。市長の更なる答弁を求めて私の質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(山岸たかゆき) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 安井つとむ議員の御質問にお答えいたします。 まず,太陽光発電システムの整備についてでございます。伏見区水垂でのメガソーラーの設置に当たりましては,地元の皆さんの御協力をいただきましたことに改めて御礼申し上げます。公共施設を利用した太陽光発電システムの整備についてでございますが,本市では,低炭素社会の実現を目指す環境モデル都市として高い温室効果ガス削減目標を掲げまして先駆的に取組に力強く挑戦してまいりました。とりわけ再生可能エネルギーの普及促進に当たっては,これまでから学校施設への太陽光発電設備の導入をはじめ本市施設への積極的な導入を率先して進めてまいりました。安井議員御指摘の,いわゆる屋根貸し制度につきましては,再生可能エネルギー固定価格全量買取制度の発足に併せて本年7月から実施されたものであります。この制度は,建物所有者以外の第三者が屋根を借り太陽光発電システムを設置し売電することを認めるものであり,再生可能エネルギーの普及促進に大きく寄与するものであると考えております。本市では,現在この屋根貸し制度を活用し,本市の公共施設の屋根を利用して,市民の誰もが再生可能エネルギーの普及拡大に関わることができる市民共同発電制度の構築に向け取り組んでいるところであります。今後,この市民共同発電制度の早期実施はもとより,安井議員御提案の民間事業者による公共施設を利用した太陽光発電制度の具体化を図り,再生可能エネルギーの飛躍的な普及拡大に取り組んでまいります。 次に,東日本大震災の被災者支援についてでございます。本市では,大震災発生直後から市民やボランティアの皆さんとしっかりと連携し,私も本市職員も先頭に立って地域ぐるみで被災者の皆様が必要とされる心の通った支援活動に取り組んでまいりました。安井議員御指摘の放射能残留測定については大切な課題でございます。福島県から避難されている方の放射能検査のうち子供を対象とした甲状腺検査については10月から各都道府県の指定医療機関においても受診できるよう取組が進められております。内部被曝検査の各都道府県における受診体制の整備につきましても,現在,福島県において検討が行われているところでございます。 次に,被災者への住宅支援につきましては,市民の皆さんから善意により無償で提供していただいた民間住宅や市営住宅を無償で提供するなど,被災者の方々を温かくお迎えし,また,入居いただいた後も被災者向け住宅情報センターにおいて6箇月ごとの戸別訪問を行い,生活再建の状況や居住の継続意向について把握してまいりました。また,無償での入居期間終了後の住宅の確保につきましては,災害後2年を経過する今年度末までに全世帯を訪問させていただき御要望を伺ったうえで,今回の震災により住宅が全壊した方や,福島原子力発電所の事故に伴う避難指定区域に居住されている方につきましては,引き続き市営住宅に居住していただけるよう取り組んでまいります。さらに,民間住宅への入居を希望される方につきましても,不動産事業者と連携し,敷金や礼金が不要といった賃貸住宅を紹介してまいります。今後とも被災者の心情に寄り添った丁寧なきめ細やかな支援を行ってまいります。 次に,原子力発電所事故対応計画について,関西電力の役割についてでございます。本市では,国の対策を待つまでもなく,全国に先駆けまして原子力発電所事故対応暫定計画を策定しております。その際,関西電力から大飯原発における災害予防応急復旧対策等に関する防災業務計画などの提供を受けるとともに,原子力災害対策特別措置法においては,本市に通報義務のない放射能漏れ等の特定事象の発生や,そこまで至らない軽微な事象についても関西電力と協議し,直接連絡がなされる体制を構築するなど,原発の安全対策について協力をいただいております。なお,環境放射線モニタリング体制の整備につきましては,現行法令では,原子力事業者には敷地境界線内における環境射線モニタリングの実施のみが定められているため,本市独自に必要な放射線検出機能などを整備し,京都府とも連携して市民の皆様の安心と安全を確保する放射線モニタリングを実施いたしております。今後,地域防災計画原子力災害対策編の策定に際しましては,関西電力に対しまして原子力事業者の責務として万全の安全確保とその説明責任をしっかりと果たすよう強く求めるとともに,本市が行う防災対策が円滑に実施できるよう十分な連携と全面的な協力を要請してまいります。これによりまして,本市と関西電力の双方による新たな監視体制の整備や緊急時の専門要員の派遣など,安井議員御指摘の二重の安全対策を構築し,市民の皆様の健康や生活をしっかりと守っていく決意でございます。 次に,上下水道事業の次期経営計画についてでございます。本市の水道は本年創設100周年を迎え,下水道につきましても80年を超える歴史を数え,これまでの間,市民生活や事業活動を支える極めて重要なライフラインとして京都の発展に大きく寄与いたしてまいりました。近年は長引く景気の停滞や節水型社会の進展に伴いまして収益の大幅な減少が続いており,徹底した経営改革を進めておりますが,今後の経営環境は更に大変厳しいものと言わざるを得ません。しかし,どのような状況においても,50年先,100年先を見据えて持続可能な上下水道サービスを確保していくことが我々に与えられた重要な使命であります。このため,上下水道事業の次期経営計画の作成に当たりましては,老朽化した水道管の更新を最重要課題の一つに位置付け,その対策を充実,強化するよう指示いたしております。現在,上下水道料金制度審議委員会において料金体系を審議する中で,施設更新の財源について議論がなされております。老朽化した水道管の更新には多額の経費を要するため,その財源の確保は重要な課題であります。今後,更に徹底した経営の効率化を図るとともに,市民の皆様に事業の必要性と財政状況についてしっかりと御説明申し上げ,十分な御理解をいただきながら年内に予定されております審議委員会の意見書も踏まえ,料金制度の見直しをする中で必要な財源を確保する方策についても検討いたしてまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○副議長(山岸たかゆき) 平口副市長。 〔平口副市長登壇〕 ◎副市長(平口愛一郎) 南部地域における交通政策についてでございます。京都市南部周辺地域では,阪急電鉄,JR西日本,京阪電車,近畿日本鉄道が南北に運行しており,鉄道駅を起点に路線バス網が形成されているものの,各鉄道間相互を運行する路線バスは非常に少ない状況にあります。現在,平成25年度の完了を目指して京阪電車淀駅の立体交差化事業が,また,阪急電鉄において長岡天神駅と大山崎駅との間に西山天王山駅の整備が進んでおります。こうした状況を踏まえ,阪急西山天王山駅を発着点とする京都府南部地域におけるバス路線の充実を検討するため,京都府や京都市,長岡京市をはじめとする関係自治体や,国,バス事業者等で構成する南部広域バス検討協議会が平成24年3月に発足しました。安井議員御指摘のとおり,京阪淀駅と阪急西山天王山駅を結ぶ路線バスが運行すれば,伏見区淀地域をはじめとする沿線住民の交通アクセスは大いに向上することになりますが,複数の自治体をつなぐ広域的な新規バス路線であることから,その実現に向けてはバス事業者の協力はもちろんのこと関係自治体間の連携が特に重要となります。今後は沿線6自治体の住民を対象として,本年8月に実施された交通アンケート調査の結果を踏まえ,京都市南部地域の活性化につながる公共交通ネットワークの形成を図る観点から,協議会において試験運行も視野に入れた新規バス路線の検討が行われるよう本市から積極的に働き掛けてまいります。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(山岸たかゆき) 次に,市政一般について,青木よしか議員に発言を許します。青木議員。 〔青木よしか議員登壇(拍手)〕 ◆(青木よしか議員) 右京区選出の青木よしかです。民主・都みらい京都市会議員団を代表して質問いたします。 昨日,野田政権の下で第3次となる改造内閣が発足し,3党合意に基づき社会保障と税の一体改革実現に全力で取り組むことなど,国家国民のための基本方針が閣議決定されました。我々議員団も政府と連携し,引き続き本市の発展と市民の幸せのために頑張ってまいります。 さて,いつの時代においても社会には多くの病理が存在しています。社会病理とは,例えば高い失業率や貧困,倫理の崩壊,様々な依存症,暴力や犯罪,いじめや非行,虐待やDV,自殺などを言います。これらは,負の連鎖を引き起こす性質を持っており,それを断ち切るために経済から教育,福祉にわたるまでの政策をもって対処していかねばなりません。これらの病理が発端となって,事件という具体的な形となったとき,私たちは社会に潜む深い闇を突き付けられるように知ることとなります。また,表面的には個人レベルの病理とも捉えられるストレスや脳の障害を起因とするうつ病やひきこもり等による本人や家族の長年にわたる悩みも,その背景や社会に及んでいる影響を考えた場合には,広い意味での社会病理とも言えるでしょう。 これら社会に蔓延する病理は,時に傷害事件や自殺という,これ以上にない強烈な形で表面化されてしまいます。先日,右京区においても,幼い児童が母親の手に掛けられるという悲惨な事件が発生してしまいました。原因等はまだ解明されておりませんが,原因が明快に断定されないことを考えたとき,そこにも間違いなく深い病理の存在があったのだということと,誰のそばにも病理は存在するのだということを認めざるを得ません。社会病理は,社会のシステムやバランスをむしばんでいきます。手遅れにならないようにするためには,医師が身体の症状から病気を特定するように,社会においても具体直面する課題からさかのぼり病理の正体を突き止め対策を講じる,又は自覚症状がなくとも早期の処置なり予防対策を講じる。どの病理にも特効薬はありません。そしてそれらの病理に加えて,身近な脅威として市民が憂慮しているのは,人生の計画の中に描くことのない自然災害です。こういった深刻な病理や予定できない災害を前にしてもなお市民が絶望せず,その生活に希望を見出だして幸福を追求して生きていく道を選んでいくことができるために必要なのは何か。私は,それはやはり信頼できる政治と行政の存在であると思うのです。私たちも政治行政の原点を今一度捉え直して頑張っていきたいと思います。 初めに市長にお尋ねいたします。この厳しい社会の中で,今,生き抜き難い日々を送っている市民が多くおられます。どんな状況であれ,京都市は,市長を先頭に市民の命と尊厳を守り抜くのだという姿勢と決意を市民の皆様に届くよう,分かりやすい言葉でお示しください。 さて,地震や津波災害,また季節によって備える習慣ができている台風や雪害とは別に,この夏,京都市でも多数の被害が発生したように,短時間集中型の局地的豪雨災害が頻発しています。新たな特徴のある災害への対応について,関係各局においてそれぞれの役割強化を求めます。いかなる災害からも,被災者が立ち直るためにはハード面の復旧復興の取組はもちろんソフト面での支援も不可欠です。本市においても東日本大震災発生後,教育,福祉,医療等の分野で速やかに生活支援事業が開始され,現在も市民の協力や御理解の下で精神的なケアなどに役立つ継続した取組がなされています。その中でも,主に産業観光局が主体となって実施されてきた観光を通しての復興支援事業に焦点を当てて質問いたします。 本市が世界に誇る観光の力を発揮して,昨年夏の京の七夕復興支援事業をはじめとして本市と観光業界の方々とが力を合わせて多数の復興支援事業が実施されてきました。形態としては,一つには被災地で実施された事業があります。祇園囃子など本市の観光資源を現地において触れてもらい,本市から市民が現地を訪れての産業支援を行うことで励ましの想いを伝えることができたと認識しています。また,京都市内においては,仙台七夕の吹き流し飾りの展示などにより,京都市民に被災地への思いを持ってもらう事業が実施されました。被災者の方々を本市へ招いて,本市の豊かな魅力を通して癒やしや希望を感じてもらう事業も官民協働で実施されています。災害は日常に潜んでいる様々な課題を一気に顕在化させるものであると言われます。その災害からの復興支援事業を通して本市が得た事柄について総括を行い,日常の観光事業の推進にしっかりと役立てていくべきであると思います。 そこでお尋ねいたします。本市では,民間,市民団体と共に,京都市内外で観光分野においても様々な復興支援事業を実施し,被災者の心が癒やされ希望の灯がともるよう努力されてきました。本市が培ってきた京都ブランドを生かしてのこれら復興事業の総括と今後の展開について,どのようにお考えでしょうか。また,これら貴重な体験を通して市長がお感じになった観光面における本市ならではの使命といったものについて,御所見をお聞かせください。 本市の観光政策は,都市格の向上,魅力の増進,観光客の増加を目標として旅の本質を追求する段階へとシフトしてきました。本市のMICE戦略の中で,平仮名で「ほんもの」と表現される京都の本質について,先に触れた復興支援事業を通して再発見されたことと思います。また,我が会派では小林あきろう議員を先頭として,国家戦略としての京都創生について論じてきました。京都創生は,本市の長い歴史において脈々と受け継がれてきた自然,都市景観,伝統文化の保全,再生,創造,そして活用と発信を目的として取り組まれてきたものです。まさに,今,本市が挑んでいる新たな観光政策の実現は,京都創生の理念の具体化であります。京都の歴史,文化,社寺仏閣等を含む文化財,伝統産業の表面をなでるだけではない,「ほんもの」を観光客にも触れてもらうためには,観光政策の中に改めて京都創生の理念を浸透させ新たな展開を模索すべきです。国家間の緊張が高まっている今だからこそ,国際平和や国際交流,ソフトパワーという鍵と共に,京都ブランドを柱とした観光政策として,今後京都市MICE戦略,また,「未来・京都観光振興計画2010+5」の展開の中で,京都創生の理念をいかに浸透させ充実させていこうとお考えであるか,この点についてお答えください。 次に,教育現場におけるいじめ問題に関連してお尋ねいたします。文部科学省によると,いじめとは,「一定の人間関係のある者から,心理的,物理的な攻撃を受けたことにより,精神的な苦痛を感じているもの」と定義されています。人間が3人集まれば何が起こるでしょうか。「三人寄れば文殊の知恵」ということわざのようには常にはいかず,3人集まれば派閥が出来ると言われます。つまり,3人が2対1に分かれるということです。また,人間が2人いれば争いが起こると言います。顔の見えないインターネット上ではなおのことです。すなわち,どこでもいじめは起こり得る。その事実について,どの立場の人間も認識を強めるべきであります。 平成23年度の京都市立学校におけるいじめの認知件数は小学校で140件,その他すべての学校で計196件でありますが,数値としては近年減少傾向にあります。また,1,000人比において全国平均を下回っていることは,本市教育関係者による様々な取組が結実した一つの結果であると思います。今後も小さなSOSや,少しでも不穏な言動を見逃さず,真に児童生徒に寄り添った丁寧なケアと指導がなされるよう望みます。現実問題として,人間が集まる場ではどこでもいじめは起こり得ると指摘しました。本市の各学校におけるいじめの早期発見や対応に加えて,未然防止という観点の取組の更なる充実が必要です。今年8月に開催された教育委員会主催の京都市中学校生徒会サミットにおいて,本市中学校の生徒会の生徒が,「いじめはしない!させない!許されない!~かけがえのない命が世界で一番大切!~」と宣言しました。大変重要なことです。この宣言が実際に教育現場で発揮されるようにするためには,全ての児童生徒がまずは自分自身の心と命の基本的権利を知り,真っ当な自己肯定感という土台の基に成長できるよう支えてやらねばなりません。いじめや虐待,性暴力などあらゆる犯罪や身に迫った危険から自分自身を守る力を身に付けるためのプログラムとしては,CAPプログラムが有名です。我が会派としてもマニフェストに掲げて,その全校実施を求めてきました。今一度,その重要性を指摘しておきます。いじめを受け,心から血を流して傷ついた被害児童はカウンセリングなどを受けます。そこで児童生徒は,我慢して相手の期待に応え続ける力ではなく,自分の心の権利を知って自分自身を愛する力を付けて回復していきます。このように被害者を対象に自己尊重トレーニングを実施することも大切ですが,全ての児童生徒の健全な精神的自立に向けて未然にトレーニングを実施し,いじめ自体を未然に防ぐこともまた重要であると考えます。 そこでお尋ねいたします。現在実施されている新学習指導要領において,道徳教育は学校の教育活動全体を通じて行うものとされています。そのことも踏まえ,児童生徒が自己肯定感を育み,自身を守ることのすべを知り,実際にその力を身に付けるための教育をこれまで以上に実施されるよう求めますが,いかがでしょうか。 次に,少子化対策である不妊治療について質問をいたします。少子化という課題からさかのぼったときに突き当たる現代の病理として,若い世代の貧困や家族観の変容,働く世代への育児支援の欠如,不安定雇用などが上げられます。中でも働く世代への育児支援の欠如が起こっている原因は,女性や夫婦のライフプランの考え方が激変したにもかかわらず,それを認め支える社会の制度が十分に整っていないことにあります。そのために日本では,女性がある目的を持って社会で活躍をする,若しくは経済的理由から夫婦共に就業するといった現状と家庭生活を両立することが困難なことによって未婚化や晩婚化が進み,いざパートナー同士で妊娠を望んだときには,年齢等の身体的要因から不妊治療が必要となるケースは珍しいものではなくなっています。福祉分野においてこの課題を解消するための手立てとしては,本市が国や府と共に積極的に拡大してきた不妊治療助成を今後も着実に実施することと併せて,思春期を含め広い世代の市民に対して,不妊や妊娠に関する正しい知識を広めるための機会を充実させることが有効です。京都市も,他の大多数の都市の例にもれず,今後急激な人口減少という大きな課題に臨んでいきます。政策として都市の発展を考える場合にも,子育ての喜びを求める市民の応援をするためにも,少子化に即応する施策の充実が不可欠です。 そこで,お尋ねいたします。特定不妊治療助成を受けられる指定医療機関は,現在京都市内で6院となっています。この指定医療機関数を増やすための努力を日本産科婦人科学会の協力の下で実施いただきたいことをまず要望として申し上げます。 さて,特定不妊治療が身体へ及ぼす負担等の影響を考慮したとき,現在の国の指針では年間3回までが安全であるとされています。しかし,医師等による心身両面のケアの下で指定医療機関において安全に治療が進められるうえで,医師の判断と本人の希望により年間4回以上の特定不妊治療が実施されるケースもあります。治療を受ける方の大半が経済的な負担のみならず,あらがうことのできない年齢的,身体的なタイムリミットというものとも戦っておられるため,京都市として特定不妊治療助成回数をあと1回,すなわち年間3回から4回へ増やすよう要望の声が聞かれますがいかがでしょうか。この点も含め,不妊治療に関する支援の充実についてお答えください。 次に,障害児の通学支援も含めた放課後対策についてお尋ねいたします。今,京都市内には,知的,身体,精神障害があり育成学級や総合支援学校に通う児童生徒が約2,100名おられます。障害のある児童生徒にとっては,日常生活の中で,本人が自主自力により単独で実施することの難しいことがあります。その一つは,通学や社会参加をするための移動です。その部分をサポートするために,本市でも移動支援事業が実施されています。この事業は平成18年の障害者自立支援法の中で,自治体が自主的に実施可能な地域生活支援事業と位置付けられており,国と府からの補助を受けながら障害のある方の社会参加を目的として実施されています。制度の周知によって年々利用者が増えており,平成23年度では利用者数が3,458名と,この5年間で1,000名増加しています。しかし,この移動支援事業は,日々の通学における支援は対象外として利用できず改善が求められています。東京都台東区や大阪の枚方市では障害児通学支援制度を導入されました。本市でも移動支援事業の通学支援までの拡充を実施していただきたいと考えます。また,障害のある児童生徒が本人の自主自力だけで行うのが難しいこととして,放課後や余暇を安全に充実して過ごすということがあります。特に,重度の障害で行動障害がある場合などは家で過ごすことも難しく,第三者の支援がなければ,保護者は仕事を休んだり,場合によっては離職しなければならなくなります。しかし,ヘルパーや学童クラブの介助ボランティアは全体数が限られており,支援者を見つけることが難しいのが現状です。本市では,学童クラブなどにおける障害児の放課後対策が徐々に充実されつつあります。障害のある児童の暮らしの中で,特に自由で長い時間である通学も含めた放課後において,安心して過ごすための公的な支援サービスの更なる拡充は,保護者の就労支援,安定的な子育て支援につながるとともに,障害のない児童と共に過ごす共生社会の実現にも向けた大きな一歩であると考えます。通学支援も含めた放課後対策について,今後どのように取り組まれるか御答弁をお願いします。 最後に地域要望を申し上げます。防災対策に力点を置いて事業の優先度を見直すという趣旨の下,本年4月に,既に予算に計上されていた道路整備事業の実施見直し案が当局より発表され,建設中の4路線は予算を減額して完成までの工期を遅らせる,また,計画段階の18路線は今後4年間にわたって事業実施を凍結すると決定されました。我々議員団も,兼ねてから重要橋りょうの改修や耐震補強を迅速に進めることを要望してまいりましたし,防災対策事業の推進は大変重要であることももちろん承知しております。しかしながら,4年間の凍結という言葉を巡って住民の間では困惑が続いているのも事実です。右京区においては,葛野大路,御池通及び梅津太秦線,久世梅津北野線,国道162号栗尾バイパスの未着工道路部分が4年間の事業凍結とされました。当局によれば,4年間の凍結といっても年限等を固定化するものではない。様々な状況変化に対応していくとのことですが,今後,しかるべき時期に事業を推進する際に理解が得られるようにするためにも,事業に対する当局の姿勢や今後の見通しなどをきめ細かに地域住民の皆様へ説明し続けていっていただきたく要望として申し述べておきます。私の質問と要望は以上でございます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(山岸たかゆき) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 青木よしか議員の御質問にお答えいたします。 まず,市民の皆さんの命と尊厳を守り抜く私の決意についてでございます。どんな時代にあっても自然災害や社会経済情勢などに基づく貧困や犯罪といった様々な社会病理現象は起こり,我々はこれに立ち向かい,解決の道を探っていかなければなりません。青木議員のお言葉,重く受け止めさせていただいております。私が心から愛するこの京都においては,幾多の困難に対して市民の皆さんの地域力,人間力で乗り越えてきたすばらしい歴史があり,それは今も綿々と引き継がれております。このため私は,どんな困難があっても市民の皆様の英知を結集し,常に徹底して前を向いて取り組んでいきたいと考えております。また,人は一人では生きていけません。東日本大震災でも明らかになりましたように,人と人が支え合い,励まし合い,人の痛みを自分の痛みと感じて行動する,そういった人と人とのきずなづくりが今一層求められ,京都でも努力していただいています。全国に誇るべき京都の地域力,人間力に更に磨きを掛けるとともに,教育や保健,医療,福祉をはじめとしたあらゆる施策の充実,そして融合を図り,全ての人々の人権が尊重される心豊かな社会を私は皆さんと一緒につくっていきたいと考えております。本市の都市経営の指針であります「はばたけ未来へ!京プラン」において,安心安全と生きがいを実感でき,命と暮らしを徹底的に守り抜く,このことを重点戦略に掲げております。今後とも市議会の先生方と適切な緊張関係を保ちつつ,お互いが車の両輪となって市政運営に取り組むとともに,私が先頭に立ちまして大粒の汗を流し市民の皆様と共に汗する共汗で,「京都に住んでいて本当によかった」と実感していただけるように,また,京都市政が市民の皆様からより信頼され頼りにされる市政となるよう全身全霊を掛けて取り組んでまいります。 次に,観光における復興支援事業の総括と,京都創生の理念を生かした観光振興政策についてでございます。京都の悠久の歴史に裏打ちされた伝統文化,その根本的な精神は,東日本大震災を契機に世界から改めて高く評価された日本人の生き方やその精神性の原点でございます。これを広く国内外に発信し,人と人との相互理解,交流を促すことは日本の発展はもとより世界平和に貢献することであり,正に京都創生の理念そのものでございます。大震災によって多くの人たちが心に大きな痛手を受けられましたが,私は,こうした京都の伝統文化が持つ奥深いほんまものの魅力,癒やしの力で日本を元気付けることを広く呼び掛け,観光関係者の方々をはじめ多くの方々と御一緒に力強く被災地を支援してまいりました。被災地からも多くの感謝の声が届いており,例えば昨年末には,仙台からの修学旅行生がわざわざ市役所を訪問され,京都からの多くの支援に感謝し,また仙台七夕祭りでの祇園囃子の音色に心癒やされ勇気付けられたとの言葉も頂きました。また,本年3月には,観光客の減少など風評被害の克服と復興を目指されている福島県会津若松市と新たなきずなを結び,観光を中心に相互交流による復興支援を積極的に実施することといたしました。今後とも京都創生の理念の下,掛け替えのない京都を次の世代に引き継ぐ文化景観政策を市民ぐるみで取り組むとともに,お茶やお花,座禅などの体験など「ほんまもの」と触れ合う観光の充実やCOP3やSTSフォーラムに代表される世界的な国際会議の誘致などMICE戦略の推進により京都を訪れられる全ての人が感動する質の高い国際観光都市,世界があこがれる京都を目指して努力してまいります。 次に,不妊治療助成の拡大についてでございます。私は,不妊に悩まれる方が子供を産み育てるという大きな喜びと貴重な経験を得られるよう支援が必要と認識し,「京都市未来子どもプラン」におきまして,「国に対する支援の充実」を最重要施策の一つに掲げ,積極的な取組を推進してまいりました。青木議員御指摘の不妊治療費助成につきましては,国制度を活用した体外受精や顕微授精等の特定不妊治療を対象とした助成を行うとともに,保険適用のある不妊治療や人工受精を対象とした治療費の助成も京都府と協調して行うなど政令市トップレベルの内容となっております。また,両事業を合わせた助成件数は,平成17年と比較してみますと,平成23年度には約2倍となる3,391件と大幅にこの間増加いたしております。特定不妊治療の助成回数につきましては,限られた期間の中で治療機会が増え一定の効果があると見込まれますため,昨年度から治療1年目の助成回数を2回から3回に増やしたところであります。助成回数の更なる増につきましては,母胎への影響や効果等の医学的な検証といった慎重な対応が必要であり,国における検討の推移をしっかりと見守りながら対応を検討してまいります。また,不妊に悩む方の精神的な負担を軽減することも極めて大事であり,お一人お一人に寄り添った取組として,これまでから相談や交流会を実施しておりますが,新たに11月1日からは不妊,妊娠,不育等に関するメール相談も実施してまいります。今後とも子育て環境日本一を目指しまして,不妊に悩む方への支援をはじめ子供を安心して産み育てることのできる施策に全力を傾注してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(山岸たかゆき) 星川副市長。 〔星川副市長登壇〕 ◎副市長(星川茂一) 私からは,障害児の放課後対策と通学支援についてお答えいたします。 障害のある児童生徒の放課後における療育も含めた居場所づくりや通学支援は,子供の健全な育成を促進するとともに,保護者の就労支援,また,日々の介護負担の軽減という点で大変重要な役割を果たすものと認識いたしております。このため,京都市では,放課後の居場所づくりとして,これまでから学童クラブ事業における障害児の利用拡大や総合支援学校の中高生が放課後や夏休み中などに通所できるタイムケア事業などを実施してまいりました。さらに,本年度からは訓練や居場所を提供する放課後等デイサービス事業所への開設経費助成事業を開始するとともに,タイムケア事業につきましては北総合支援学校区に分室を設置するなど受入枠の拡大を図ってきたところであり,今後とも積極的な放課後の居場所づくりに取り組んでまいります。 また,通学支援につきましては,現在,学童クラブ事業を利用する障害のある児童に対する介助ボランティアの送迎や,タイムケア事業でのワゴン車による送迎を実施しているところでございます。お尋ねの移動支援事業における通学支援につきましては,現在は保護者の病気や出産等に伴う一時的な利用に限っておりますが,昨年度は3,458人に対して支援を行い,その決算額は12億9,800万円となっております。今後の拡充につきましては,議員の御指摘を踏まえ,また,本市の厳しい財政事情も踏まえつつ,その在り方について検討してまいりたいと考えております。以上でございます。 ○副議長(山岸たかゆき) 生田教育長。 〔生田教育長登壇〕 ◎教育長(生田義久) 児童生徒の自己肯定感を育む教育についてであります。議員御指摘のとおり,いじめ問題の未然防止のためには,子供たちが自分自身を掛け替えのない存在として肯定的にとらえ,自らを守る力を身に付けることが極めて重要であり,こうしたことが相手を尊重し思いやる態度の育成につながるものであると認識いたしております。本市では,こうした観点に立ち独自に作成した指導計画や指導資料集を活用し全校で策定している全教科領域にわたる道徳教育の全体計画に基づく取組を進めるとともに,学級活動や部活動などを通じ子供たちの指導に努めてまいりました。さらに,小学校では5年生全員が参加する「長期宿泊自然体験活動」を通じて仲間意識や責任感,規範意識など豊かな人間性や社会性を育むとともに,中学校では2年生全員が参加する「生き方探究・チャレンジ体験推進事業」において職場体験やボランティア活動を通して社会の一員として自己の在り方を見詰め自立心の育成を図っており,集団活動や多様な世代との触れ合いを通じて児童生徒が自信を持ち自ら課題を解決する力を身に付けられるよう取組を進めております。また,こうした取組が本年8月の京都市中学校生徒会サミットでのいじめに関する宣言など子供自身が考え行動する自主的な活動につながっております。今後ともこれまでの取組を一層充実するとともに,議員御提案のCAPプログラムの趣旨を踏まえた教育活動をより拡大するなどして,自身を守ることのすべを知り,その力を身に付けることができる教育の推進に努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(山岸たかゆき) 次に,市政一般について,天方浩之議員に発言を許します。天方議員。 〔天方浩之議員登壇(拍手)〕 ◆(天方浩之議員) 民主・都みらい京都市会議員団西京区選出の天方浩之です。安井つとむ議員,青木よしか議員に引き続き代表質問をいたします。 まず初めに,京都市における歩いて楽しいまちづくりについてお尋ねします。本市では,平成22年1月に「歩くまち・京都」総合交通戦略を策定され,非自動車分担率を72パーセントから80パーセント以上にすることを目標に定め,既存公共交通,まちづくり,ライフスタイルの三つの観点から88の実施プロジェクトを進めていくこととしており,これまでに京都市内共通乗車券「京都カード」の創設や洛西地域におけるバス利便性向上などのプロジェクトを先行して実施されています。総合交通戦略には,目標とする「歩くまち・京都」のイメージも描かれていますが,どのように具体化されていかれるのか質問いたします。 まず,既存バスを便利で快適に利用できる環境についてであります。過日,本市において,「LRTの導入に向けた研究を再び行う」との新聞報道がありました。LRTは,排ガスを出さず省エネ型の軽車両は環境に優しく騒音も少ない,また,車両の床が低くお年寄りや体に障害がある方などが乗り降りしやすい公共交通です。さらに,建設費も地下鉄の10分の1に抑えられることも利点であります。また,LRTを導入された富山市では,LRTを利用したまちづくりが進められていますが,北陸新幹線の整備に伴うJR富山駅の高架化事業と廃止されたJR富山港線線路の活用という状況の下で導入できたのであって,一から整備を行う京都市とでは全く状況が異なります。また,地下鉄東西線整備に伴う巨額の債務を抱え,烏丸線も含めて1日5万人の増加を目指す状況にある本市が新たな交通インフラに投資すべきなのかどうか市民的な議論が必要であります。「歩くまち・京都」を実現するため,今の時点でLRTの導入を検討すべきかどうかについては私自身思うところがあり,これから御紹介する海外での公共交通の取組事例を参考に,既存バスを便利で快適に利用できる環境の改善について提案させていただきます。 人口が本市と同規模のブラジルのクリチバ市では,地下鉄の導入が検討されていましたが,財政的,技術的な理由からバスを中心とする公共交通システムが導入されました。一度に270人を運ぶことのできる3両連結車両やピーク時には30秒ごとに運行することのできるバス専用レーン,乗換え無料の均一運賃制度,まるで駅のプラットホームのような円筒形のバス停など市民,観光客がバスを便利で快適に利用できる環境が整えられました。 一方,昭和55年から平成12年度までに10年ごとに実施されました京阪神都市圏パーソントリップ調査の結果を見ますと,市内の鉄道の利用は増えバスの利用は減っている状況にあります。地下鉄烏丸線と東西線の開業が大きく影響していると思われますが,自動車の利用が増えていることが大変気になるところであります。平成22年度決算の市バス事業は74系統のうち黒字は20系統で,残りの54系統が赤字であります。赤字の原因は定時性が確保できていないことや運行経路の視認性の低さや分かりにくさ等が上げられます。交通局におかれましては,バス営業所の運営や車両の運行を民間に委託するなど経営の改善に努力されていますが,限られた予算の中では,バス専用レーンや公共交通優先システムPTPSを交通局自らが整備していくことは非常に困難でありますので,道路管理者や交通管理者との連携が大変重要であります。現在の道路事情の中でバス事業の黒字化を図ることは非常に厳しい状況にあると私としても認識しておりますので,クリチバ市に見られるような大胆な発想で既存のバスの定時性,速達性を確保するためにバスのみが走る専用道路を研究していただき,市民や観光客の皆さんに便利で快適に利用していただける環境の改善をまず図ることがLRT,BRTの検討の前に必要だと考えますがいかがお考えですか。 次に,既存バスの乗客数を増やすためには,ダイヤや系統,案内表示など利便性や快適性を向上させる取組が必要であります。そこで,「歩くまち・京都」総合交通戦略の先行実施プロジェクトであります洛西地域におけるバス利便性向上に取り組んでおります。洛西地域には,市バスをはじめ京阪京都交通,阪急バス,ヤサカバスの4社が運行しているにもかかわらず,これまで身近に鉄道駅がなかったため公共交通分担率よりも自動車分担率が高い地域でした。平成15年の阪急洛西口駅と平成20年のJR桂川駅の開業と洛西地域と国道171号線を結ぶ久世北茶屋線の4車線化により,洛西地域の道路,交通環境は大きく変わりました。こうした状況において,京都市がバス事業者と鉄道事業者との連携の下,バスの利便性向上に取り組まれたことは誠に時宜を得たものであります。これまでに取り組まれてきた洛西地域におけるバス利便性向上の取組を踏まえた京都市内全体での今後の展開についてお答えください。 あわせて,路線バスの走行環境を改善する上で,京都市内中心部への自動車流入の抑制も大変重要であります。自動車流入の抑制を図る施策としては,ロードプライシングの平成25年度中の社会実験が,「はばたけ未来へ!京プラン」の年次計画で予定されておりますが,本格的な実施には時間が掛かると思います。即効性のある現実的な施策として,パークアンドライドの充実を図ることがまず重要であると考えています。これまで本市が市内都心部や観光地への自動車の流入抑制対策として実施されてきましたパークアンドライドについては,近隣の自治体などとの連携により広域的な展開が通年で図られています。私の地元であります西京区においても,京都大学桂キャンパスや西京区役所の駐車場用地を活用し近隣の駅まで送迎バスを運行するパークアンドライドの実験を試みられ,多くの方が利用されたと聞いております。また,今年7月には,阪神高速8号京都線の高架下用地を活用し鴨川西ランプに大型バス40台と普通車60台,近鉄上鳥羽口駅近くに普通車110台を収容できるパークアンドライド駐車場の設置が発表されました。今後,自動車の市内への流入抑制を図る南部地域の拠点となることが大いに期待されています。 一方,西京区において進められています京都第二外環状道路の整備が平成24年度末に完成すると市内の自動車流入の減少が見込まれますが,一方では,去る平成23年2月2日にキリンビール跡地の大規模土地をイオンモールが購入をしています。いずれは大型商業施設ができることが予想されます。西部地域においても,例えばJR桂川駅や阪急洛西口駅付近にパークアンドライドの拠点を設ける必要があると思いますがいかがお考えですか。 さらに,人と公共交通優先の「歩くまち・京都」の実現に向けての今後の道路空間の在り方について,本市では,京都独自の道路空間の在り方を検討するために,平成19年1月に今出川通においてLRT交通社会実験を,同年10月には四条通河原町烏丸間と周辺道路において歩いて楽しいまちなか戦略社会実験を,また平成22年11月には御池通において自転車通行環境整備に関わる実証実験を,さらに,平成24年3月には中京区の高倉小学校周辺の細街路において歩くまちゾーンの実証実験を実施されました。現在,国において,地域のことは地域に住む住民が責任を持って決めることのできる活気に満ちた地域社会づくりを目指し地域主権改革の取組が積極的に進められています。その一つとして,昨年5月に公布された地域主権改革推進一括法において,都道府県道及び市町村道の構造については地域独自の基準を条例で定めることができるようになりました。本市においては,これまで道路の主役であった車から新たな公共交通システムの導入,歩いて楽しい歩行空間の形成,安心安全な自転車の走行環境の確保といった,人を主役とした道路の活用方策を検討してきました。これらの社会実験の結果を踏まえ,京都市では,人,自転車,公共交通,車が利用する道路空間を今後どのような方針に基づき再構成されていかれるのか御所見をお伺いいたします。 次に,児童養護施設の現状と今後の方向性についてお尋ねします。京都市所管の児童養護施設は現在7箇所で運営をしております。古くはその施設の目的は,児童福祉法41条により,「児童養護施設は,保護者のない児童,虐待されている児童,その他環境上養護を要する児童を入所させて,これを養護し,あわせて,退所した者に対する相談,その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設」となっており,本市では権限を委任した児童相談所所長の判断に基づき入所措置を決定する児童福祉施設の一つであります。以前は孤児院と呼ばれ,まさしく実の親がいないので他人である児童指導員や保育士が育てるという意義が強かったわけですが,現在はむしろいわゆる孤児は少なく,実の親が自分の子供を育てることが不可能になったために預けられている場合が圧倒的に多いのが実情であります。本来の血の通った親がいるのに家族として暮せないことについては,現代の時代背景の中で,今の親自身が大人になるまでの成長過程で家庭環境,教育環境,そして経済的環境などの家庭生活における問題が根底にあるとは思いますが,行政として児童相談所と児童養護施設の役割は家族の再統合,つまり血の通った親と子が,もう一度一つ屋根の下で家族として日常生活を送ることを目標に掲げられているのであります。 私の地元学区には,社会福祉法人積慶園が運営する乳児院,児童養護施設がございますが,地元の町内会にも参加をしていただいたり,先生方の指導の下,伸び伸びと子供たちを育てていただいておりますし,町内で高齢化が進み子供のいる世帯が少ない中,学区民体育大会では多数の子供さんたちの参加,活躍を得て,世帯数が多いとは言えない町内会が,体育大会において優秀な成績をおさめることができている次第であります。児童養護施設の入所対象者は,原則1歳以上18歳未満の幼児及び少年であり,場合によっては20歳まで延長ができますが,家族の再統合を目標とする中で,一方では児童養護施設においては,子供たちの一時的な仮の宿であってほしいと思うのと同時に,お仕事とはいえ職員の先生方の人間としての大きな愛でもって子供たちはすくすくと育っていることを考えると複雑な思いになります。 そこで,質問いたします。本来は家庭生活で親が子を育てることによって,親自身も学んでいくわけでありますが,ただ今申し上げましたとおり,親自身の成長過程の問題により子育てができず,自分の子供に虐待してしまうケースもあります。全国的にも児童虐待の増加傾向が止まらず,児童養護施設において虐待を受けた子供たちの割合も多い中,京都市においては,虐待を行った親が再び自分の子供を育てられるようになるため,これまでの保護者カウンセリング事業や親子ヒーリングルーム事業の取組も含めて,効果的な家族再統合のための支援についてどのように考えておられるかお聞かせください。 第二に,長く児童養護施設で過ごし,基本的には18歳になると施設を退所し進学や就職をされ社会に巣立っていかれると思いますが,人は生きていく上で色々な障害があってもすねずに正々堂々と生きていけるはずだと思っていますし,現に地域で暮らしていても大変な御苦労をされても明るく頑張っておられる方がおられるのも事実であります。しかしながら,この混沌とした世の中で,一方では実の親の愛情をもらえず,場合によっては18歳になるまで施設で暮らして多少なりともハンディを持つ大人になる前の子供たちが,この世の中に放たれる現状を考えると,制度的にはもちろんのこと,それぞれに巣立っていかれる退所児童の方々に精神的に安心して頼れるところ,相談ができるところが必要であると考えます。例えば,自立援助ホームの「東樹」は京都市内で1箇所であり,対象児童は義務教育を終了して就学あるいは就労しても生活が安定しない児童,おおむね15歳から20歳になるまでを対象とした施設であり,主に青少年の就労を支援する場であると聞きます。私は,児童養護施設についても原則18歳になるまでの幼児や少年少女たちのお世話をいただいていたり,退所後の2年間は国の制度の下で最長20歳を迎えるまで措置費による支援を積極的に検討するよう国の方針が示されてもいます。本市の単費事業としても退所児童が安定的な自立生活を営むことができるように支援を行うための養護施設の人件費の一部を支援するための補助月2万6,000円(上限2年間),退所児童が居宅を確保するための家賃の一部補助月3万円(上限2年間)など条件を満たすことは必要とはいえ,児童養護施設における制度があることと,また,そこで働く職員の皆様には感謝をしている次第であります。一方では,この不況時において就労するという大変さを考えると,社会への船出を支援するための専門機関があってしかるべきと考えます。自立援助ホームの「東樹」のような施設の必要性について,本市はどのようにお考えですか,お聞かせください。 次に東日本大震災後の本市の災害対策についてお尋ねします。平成23年3月11日に発生しました東日本大震災は,死者,行方不明が2万人に迫る未曾有の被害をもたらしました。本市も立命館大学の土岐憲三先生を委員長に学識経験者や市民の皆様の参画を得て京都市の防災対策総点検を行っていただき,昨年12月に130項目の提言から成る最終報告をいただきました。この提言を受けて現在地域防災計画の見直しが行われていると聞いておりますが,新たに策定される原子力災害対策編も含むと震災対策編,一般災害対策編,事故対策編など更に重厚で立派なものになるものと期待しています。しかしながら,どんな立派な計画を立てられても実際の災害に対してどう対応ができるのかが災害対応で最も重要なことであり,行政は立派な計画をもって満足せず,また,市民の側も自分の身は自分で守ることが大原則であることをしっかり認識していただく必要があります。 そこで質問いたします。本市では,食料等の応急救助用備蓄物資として,乾パン,アルファ化米,粉ミルク,毛布,災害用応急シート,仮設トイレ,介護用差込み便器を区役所総合庁舎などの19箇所の備蓄倉庫,52箇所の小中学校の空き教室に備蓄されています。例えば災害時の食料は,本市の第3次地震被害想定の最大避難者である29万5,500人の1食分が準備され,それ以降は流通備蓄や他都市からの支援により調達されると聞いていますが,広域災害になると,それらに頼ることに不安を感じるところです。これらについて,行政がその対応を全てすることは不可能に近く,自助の精神で市民自身があらかじめ来たるべき災害に備えることが最も重要であり災害対策の基本であると考えます。市民の皆さんの防災の普及啓発につきましては,従前から消防局が各学区や町内会を対象に年間1回程度防災訓練や研修会を実施され防災力の向上に努められておりますが,消火訓練や救出,救助訓練が中心で,本市のように大きな災害を経験していない中では,真剣味に欠ける面や毎年参加者が同じような人となっている傾向があるとも聞いています。私は,南海トラフ巨大地震の想定を聞いたとき,避難するうえでの重要な物資となる非常持出し品や家庭での備蓄が自助の基本であり,これを推進することが南海トラフ巨大地震に対応する最も有効な手立てであると考えています。そこで,すぐに必要な1次持出し品として例示されている3日分程度の食料,水,ラジオ,常備薬,当面の衣類やタオル,貴重品などが上げられていますが,どれをとっても家庭内にある通常の生活用品であり,災害時にいかに迅速に持ち出しができる準備ができるかが問われます。そこで,本市として,市民の非常持出品や備蓄物品の実態調査を行っていただき,その必要性を更に広報していただくことはできないかと考えますが,いかがお考えですか。 次に避難所について質問いたします。避難所は,災害発生後においては地域の情報の拠点,物資の集約地となり,在宅被災者も含めた生活拠点となる場所となります。したがって,ハードとしての設備の内容を充実しておかないと大規模災害に遭遇したときのいざというときの対応ができないおそれがあり十分とは言えない現状があります。本市における避難所は,公立の小中学校が大半であり,体育館が主たる避難所になり,京都市では,小中学校の校舎の耐震改修が全て終了したことについては,全国的に学校耐震化の遅れが指摘されている中,教育委員会の大きな実績であり評価するものであると考えています。今後は避難所として体育館の防災機能の強化が順次執り行われていくと聞いておりますが,避難所の指定は,区長が消防署長と協議のうえ指定することが定められております。今後避難所として学校施設を使用する場合,例えば備蓄物資の保管場所,学校井戸の拡充,地域における避難所運営マニュアル策定後の指導や訓練,大災害時のリーダーの養成,学校施設管理者としての学校長の位置付け,災害弱者に関する名簿の作成や救助方法などの幾つもの問題点が出てくると思われますが,今後どのように取り組んでいくのか,特に行財政局防災危機管理室におきましては,今年度中に避難所運営マニュアルの策定をし,平成26年度末までに各学区の避難所運営マニュアルを策定するとのことであります。一方,消防局では,防災対策として自主防災会を中心とした訓練や指導,そしてトップリーダーの育成を進められているとお聞きしますが,避難所運営において,行政と住民が今後連携を取っていく上でどのように展開されて行くのかお聞かせください。これを最後の質問とさせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    ○副議長(山岸たかゆき) 天方浩之議員の一般質問の途中ですが,暫時休憩いたします。 〔午前11時38分休憩〕 〔午後1時再開〕 ○副議長(山岸たかゆき) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(山岸たかゆき) 休憩前の一般質問を継続し,天方浩之議員の質問に対する答弁を求めます。門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 天方浩之議員の御質問にお答えいたします。 まず,歩いて楽しいまちづくりを目指し,既存バスを便利で快適に利用できる環境の改善についてでございます。市民の皆様や観光客の方々に路線バスを便利で快適に利用していただく上で,定時性,速達性の確保は大変重要な課題でございます。こうした認識の下,京都市では,京都府警察と関係機関と連携し,バス停付近の違法駐停車車両への指導啓発を行う中心市街地重点路線等クリア作戦の実施や路線バスの走行を優先するよう信号を制御するシステムでありますPTPSの設置拡大など路線バスの走行環境の改善に取り組んでまいりました。天方議員御指摘のバス専用道路につきましては,定時性,速達性の向上を図る上で有効な御提案でございますが,整備に当たっては一般車両の走行車線の減少を伴うことから,荷さばき車両やタクシーの沿道アクセス機能の確保,自動車交通量の総量の抑制等多くの課題もございます。このため,バス専用道路につきましては,市内で運行する交通事業者や関係機関等が参画する「歩くまち・京都」公共交通ネットワーク推進会議において,バスの走行環境の改善を広く検討する中で,学識者の知見も得ながら研究を進めてまいります。また,引き続きPTPSやバス優先レーンの取組などにつきましても,市民の皆様の御協力の下,関係行政機関との連携を強化いたしましてバス走行環境の向上を図ってまいります。 次に,洛西地域におけるバス利便性向上の取組と今後の展開についてでございます。この取組は,平成21年度に策定した「歩くまち・京都」総合交通戦略のプロジェクトの一つとして,洛西地域で運行する京阪京都交通,阪急バス,ヤサカバス並びに市バスのバス事業者4社,JR西日本,阪急電鉄の鉄道事業者2社の連携により公共交通の利便性向上を図るものでございます。これまで交通事業者が独自のダイヤ編成や案内表示を行っておりましたが,京都市が各社に連携を呼び掛け,事業者の枠を超えた鉄道と円滑な乗継ぎに配慮したバスの等間隔運行やバス事業者共同での乗り場案内表示の整備等が実現いたしました。この結果,バスの利便性が大きく向上し,平成23年度の洛西地域におけるバスの利用者数が,年間ですが,平成21年度と比較して5パーセント,約31万人増加するなど大きな成果が表われてきております。引き続き,事業者連携によりバス待ち環境の向上を図るなど洛西地域における公共交通の利便性を一層高めてまいります。さらに,こうした洛西地域での成果を生かしまして,鉄道とバスが結節する市内の他のターミナルにおいても,より便利で使いやすい施設改善に努めるなど事業者連携による公共交通ネットワークの充実に取り組んでまいります。 次に,道路空間の再構成についてでございます。近年,我が国においては車社会の進展に伴いまして,自動車交通の需要に応じた道路整備が進められてまいりました。こうした中,京都市においては,車を重視したまちと暮らしから,歩くことに中心を置いたまちと暮らしに力強く転換するため,平成22年1月に「歩くまち・京都」総合交通戦略を策定し,歩行者を最優先する快適な道路空間の確保に向けて取り組んでまいりました。一方で,いわゆる地域主権改革推進一括法が公布されたことを受け,現在は最低限確保すべき歩道幅員や車道に自転車の通行空間を設ける場合の路肩の幅員などの道路の構造について,狭あいな道路が多い京都の特性を踏まえた条例案をお諮りいただく準備を進めております。条例の制定に当たりましては,「歩くまち・京都」の理念を踏まえた内容とするとともに,今後とも,誰もが歩いて出掛けたくなるような道路空間と公共交通を整えたにぎわいのあるまちを創造してまいります。 次に,避難所運営における行政と市民との連携についてでございます。本市では,大規模災害時に地域における情報や生活の拠点となる避難所について,住民自らが開設,運営できるよう地域の特性や実情に応じた運営マニュアルを市民の皆様と共に汗する共汗により市内404箇所全ての避難所ごとに作成することを目指して,まずはそのひな形となる標準マニュアルを今月中に策定することといたしております。策定に当たりましては,天方議員御指摘の学校施設管理者としての学校長の位置付けや災害弱者に関する名簿の作成などについても内容に盛り込み,全避難所でのマニュアル作成を早期に完了することを目指してまいります。そして,策定されました後は,自主防災会等を中心に各区で行われている防災訓練等で実際に運用していただき,更なる内容の充実,進化を図ってまいります。 また,地域の防災活動のリーダーを養成する自主防災トップリーダーの養成研修や自治連合会等の会合において避難所運営に係る地域主体の取組の重要性などにつきまして講習等を行いますことで,「自らのまちは自らで守る」という地域住民の皆様の高い意識と行動を更に醸成してまいります。そして地域住民の皆さんとこの度全区役所・支所に新たに配置しました地域防災係長をはじめとした市職員,そして消防署員との連携を更に深めまして,行政と地域が共に力を合わせることによって,あらゆる災害に万全の対応ができるよう全力を挙げて取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(山岸たかゆき) 平口副市長。 〔平口副市長登壇〕 ◎副市長(平口愛一郎) 西部地域におけるパークアンドライドの取組についてでございます。パークアンドライドは,市内への自動車流入を抑制する有効な手段であり,近隣自治体や駐車場事業者等との連携の下,駐車可能台数をこの5年間で約1,500台から約5,600台へと3倍以上に拡大するなど積極的に推進してまいりました。特に秋の観光地交通対策として昨年11月に阪神高速道路鴨川西ランプ高架下に開設したパークアンドライド駐車場については,高速道路から公共交通への乗り継ぎが大変便利であったこともあり,5日間で約1,000台と多くの方に御利用いただき,この度恒常的に設置することといたしました。 天方議員御質問のJR桂川駅や阪急洛西口駅付近でのパークアンドライド駐車場の設置については,第二外環状道路の開通や久世北茶屋線の延伸など京都市西部地域での道路環境の大きな変化を見据えた先見性のある御提案と認識しております。今後,第二外環状道路を利用して市内に流入する自動車交通量の推移や両駅周辺の土地利用の状況も勘案しながら,西部地域でのパークアンドライドの拡充について検討してまいります。 ○副議長(山岸たかゆき) 藤原危機管理監。 〔藤原危機管理監登壇〕 ◎危機管理監(藤原正行) 市民の皆様の備蓄物品等の調査と広報についてでございます。本市では,災害時に備えて食料品や生活必需品の公的備蓄を進めてきておりますが,天方議員御指摘のように市民のお一人お一人が防災の意識を高め日頃から各御家庭で災害時の備えを進めていただくことが何よりも重要でございます。これまでから市民の皆様には,非常持出し品として3日分の食糧や飲料水,お風呂のくみ置きなどの備えをお願いしてきたところでございますが,昨年7月に実施いたしました市政総合アンケートの結果では,食料品の買い置きや非常食を用意されたり非常持出し品を用意されている方はいずれも5割程度にとどまるという非常に厳しい状況でございました。今後市民の皆様に災害時の備えに万全を期していただくため,自主防災会や消防団などの御協力をいただきながら,京都の強みである地域力を生かした普及啓発活動を更に推進いたしますとともに,市民しんぶんやホームページをはじめ防災訓練,研修会,出前トークなどあらゆる広報媒体や広報機会を活用いたしまして,より一層働き掛けを強めてまいります。以上でございます。 ○副議長(山岸たかゆき) 久保子育て支援政策監。 〔久保子育て支援政策監登壇〕 ◎子育て支援政策監(久保宏) 児童虐待に係る親と子の再統合のための支援についてでございます。児童虐待の相談通告の増加に伴い,本市の児童養護施設の入所児童のうち現在6割以上の子供たちが親からの虐待を経験している状況にございます。天方議員御指摘のとおり,子供は親の下で養育されることが望ましく,児童相談所におきましては虐待行為を認めない親の存在など様々な困難がある中ではありますが,子供と保護者が互いの人格を認め合うことができるよう,子供の心理的なケアや保護者に対するカウンセリングなどを通じ親と子の再統合に向けた支援に取り組んでおります。本市におきましては,全国トップレベルとなる国の配置基準の2倍近くの児童福祉司や児童心理司を配置するとともに,本年4月には第二児童相談所を設置し,子供たちや保護者に対する相談支援体制の強化を図ってきたところであります。今後とも保護者に対し丁寧かつ粘り強い支援を行う中で,親と子の再統合の取組を推進してまいります。 次に,自立援助ホームについてでございます。児童養護施設などを退所して間もない子供たちは,なれない独り暮らしや職場に不安や寂しさを覚え,就労が継続できないなどの問題を抱えており,本市におきましてもこれまでから積極的に支援を行ってまいりました。こうした中で,自立援助ホームは児童養護施設を退所した子供たちなどに共同生活の場を提供し,日常生活における相談や助言,指導,就業の支援などを行う施設として,社会的自立を目指しながらも,いまだ不安の残る子供たちへの支援に重要な役割を担っていると考えております。現在,自立援助ホームは本市に1箇所ございますが,男子専用であり,女子専用のホームの設置も必要となっているなどの状況にあります。本市といたしましては,子供たちが社会において直面する様々な困難を乗り越えしっかりと歩んでいくことができるよう,今後とも支援体制の更なる充実に取り組んでまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(山岸たかゆき) 次に,市政一般について,大道義知議員に発言を許します。大道議員。 〔大道義知議員登壇(拍手)〕 ◆(大道義知議員) 南区選出の公明党の大道義知でございます。ただ今から議員団を代表し市政一般について質問をいたします。 まず冒頭に,今年の夏,京都の各地域において発生いたしました局地的なゲリラ豪雨により被災されました皆様方に対し,議員団を代表し心よりお見舞いを申し上げる次第でございます。被災に遭遇する度に,自助,共助,公助の重要性を実感するとともに,復旧復興に向けては,どこまでも被災者に寄り添い,心の復興を取り戻されるまで支援することが政治の使命だと改めて痛感しております。私たち公明党議員団は,どこまでも人間の復興を行動規範としながら,東日本の復興と災害に強い安心安全のまちづくりに向け,今後も全力で取り組んでまいりますことを市民の皆様にお誓いするものでございます。 さて,3年前,「政権交代」,「国民の生活が第一」と掲げ誕生いたしました民主党政権は,国民の期待とは裏腹に,その後,マニフェストの総崩れ,日米関係をはじめとする外交,安全保障の迷走,東日本大震災の復旧の遅れや原発事故対応の混乱,無駄削減を掲げたにもかかわらず水膨れ予算による財政規律の崩壊,超円高,デフレを放置する経済無策等々数々の失策によって迷走に迷走を重ね,今や国民から,即刻退場,レッドカードを突き付けられている状況にあることは誰の目にも明らかではありませんか。 〔山岸副議長退席,大西議長着席〕 ◆(大道義知議員) (続)民主党政権の迷走によって国民の政治不信が高まる中,政局優先の政治から脱却し,真に国益を守り,国民生活を守る政治を実行できるかどうか,今ほど,政党,政治の在り方が問われているときはありません。日本の未来を思うとき,東日本大震災からの復興はもちろん,原発ゼロに向けたエネルギー政策の確立,地域主権時代に対応する国や地方の新しい形の形成,待ったなしの社会保障制度の確立など克服すべき重要課題が山積しております。私ども公明党は,地域に根差しながら,50年にわたり一貫して生活者の視点に立った政策の実現に大衆と共に歩んでまいりました。これからも与野党の立場を超えて,真に国益を守り国民生活を守る立場で地域から国を変革すべくチーム力を発揮し,日本再建の先頭に立って働いてまいる決意でございます。 それでは質問に入ります。最初に,防災,減災施策の計画的な推進と,その財源確保についてお伺いいたします。我が国の戦後復興と高度経済成長を支えた道路や橋,公共施設等の社会資本,いわゆるインフラの劣化,老朽化問題は以前から指摘されてまいりましたが,東日本大震災を機に,国,地方において本格的な対応が今,迫られてきております。公明党は,災害に強い国づくりのためインフラの再整備に公共投資を集中的に行うことで自然災害から国民の生命と財産を守り,あわせて,不況克服と雇用拡大に資する10年間100兆円規模の「防災・減災ニューディール」を提案しております。先の国会では,それを実現するため防災・減災体制再構築推進基本法案として参議院に提出したところであります。法案には,費用縮減や効率的な維持管理の方法であるアセットマネジメントなどを念頭に必要なインフラ整備を図るハード面の対策と,自助,共助,公助との組合せで地域防災力の向上を図るソフト面の対策の両輪で防災,減災対策を進めることとしています。さらに,施策推進のための計画策定においては,女性,高齢者,子供,障害者の視点を重視した防災,減災総点検を実施した自治体の意見を十分尊重するなど,地域現場の声と知恵を反映するものとなっております。今後,基本法早期制定に向けて,国民目線での超党派の議論と合意形成を期待するものでありますが,いずれにいたしましても,国のこうした防災,減災に向けた取組は,三連動地震の予測を考えれば,今後地方においても強力に推進されていくものと確信いたしております。 そこで,市長にお尋ねいたします。京都市では,本年3月に,「はばたけ未来へ!京プラン」の実施年次計画において,防災,減災関連事業を精査し,今後4年間の総事業費として873億円の財政見通しを立てられました。また,本年度当初予算では,「いのちを守る橋りょう健全化プログラム」の16億円をはじめ上下水道の地震対策の83億円など総額161億円を確保し,既に執行されております。しかし,今後,本市におけるインフラの老朽化対策として上下水道に1,500億円,地下鉄烏丸線に400億円,学校防災拠点化に200億円,住宅耐震化に2,500億円と多額の費用が必要と見込まれていることからも,防災,減災施策の着実な推進に当たっては,向こう3年間の財源の確保にとどまらず,中長期的な視点に立った総合的なインフラマネジメントによる計画策定が不可欠だと考えます。公共,社会インフラのマネジメント手法についてはアセットマネジメントが有名でありますが,最近では,公共施設を全域,地域,地区の3階層でカテゴリーに分類し,建物の種別ごとに地域の特性に合わせて近隣の自治体間や地域ごとの連携で効率的に整備していく三階層マネジメント手法というものがあります。また,インフラの長寿命化とコンパクト化によって包括的に整備するインフラマネジメント,さらに,民間資金の活用によるファイナンスマネジメント,地域や住民ニーズを反映させる協働型インフラマネジメントなど多角的な手法が検討され,自治体でも実施されてきております。将来的には,モニタリングによる市民ニーズの把握や施策の評価,分析,投資状況を,いわゆるインフラ会計として公表するなど説明責任を果たすことも極めて重要な課題と考えます。本市においても,局別の取組にとどまらず長期的な視野に立って,防災,減災施策推進のための市長直轄の総合的なシティ・マネジメントを駆使した長期ビジョンを策定すべきと考えます。当面の事業推進の財源確保策と併せてお答えください。 次に,いじめ根絶に向けた取組についてお尋ねいたします。いじめ問題に対する教育委員会の対応の在り方をきっかけに,教育現場におけるいじめ問題が,これまでにも増して報道されてきております。最近問題となりました大津市での事例の場合,学校や教育委員会の閉鎖性が悲惨な事件に発展していったことは明らかでありますが,しかし,開かれた学校づくりに懸命に努力されている地域や学校があったとしても,いまだいじめ問題が減少しない背景には,大人社会のモラルハザードの劣化が一層いじめの連鎖を招いていると私も認識しております。いじめ問題は,1980年ごろから社会問題化されてまいりましたが,いじめ発生数の推移を見ても悲惨ないじめ事件が発覚する度に,いじめの発生数が増え顕在化するも,しばらくすると潜在化することを繰り返してまいりました。また,最近ではいじめられた子供は,その後不登校やひきこもりへと,学校を卒業してもその傷からなかなか立ち直ることができず長期化してきております。さらに最近では,ネット上のいじめや,小学生,児童のいじめなど複雑化,低年齢化と,いじめ問題は正に文明の病理として時代と共にその深刻さを増してきていると言えます。大人が1センチ変われば子供は1メートル変わるとよく言われます。今こそ大人たち自身が,社会のための教育から,教育のための社会への転換に向けて,いじめ根絶の風土を,学校だけでなく家庭,地域,社会の総ぐるみで粘り強く作り上げていかなければなりません。そうした共通の理念を共有しながらも,日々の子供たちの生活や教育の現場においては,子供自身が悩みを打ち明けられ,寄り添い,受け止められる早期発見のアンテナを張り巡らせ,いじめを未然に防止することです。そして何よりも,教師をはじめ大人たちが子供の幸福のために心を一つにして子供たちと同じ目線に立った対話による教育を推進することこそ,今求められているものと考えます。 そこで,いじめを根絶する教師力の確立とカウンセリング機能の強化策について教育長にお伺いをいたします。家族以外に子供と接する時間が一番多いのは,現場の教師であります。高い志と熱い情熱を持って採用された教師自身が学校現場で夢と希望に燃え日々輝く姿がなければ,子供たちに夢と希望を与えることはできないのは当然であります。現場教師のモチベーションを上げスキルアップすることはもちろんのこと,心身ともに魅力ある教師として成長できるための様々な支援策を講じることが必要だと考えますけれどもいかがですか。 また,カウンセリング機能については,本市では,子供たちの小さなSOSや予兆を見逃さない態勢として,以前からスクールカウンセラーを中学校に配置されてきております。今年度からは4年計画で全小学校,総合支援学校へ配置されることになりますが,最近では,子供よりもむしろ親や教師自身の相談に応じていただいている事例も少なくないと伺っており,機能強化が急務となっております。全校配置といっても,現状では巡回型,予約型のカウンセリングとなっており,今後は,いつでも,どこでもという態勢が採れるよう拡充すべきであります。そうした中,文部科学省は,いじめ問題解決に向けスクールソーシャルワーカーを配置し,学校及び家庭に社会福祉士による見守り相談体制を強化する方針を打ち出しました。家庭内における子育ての悩みに対処する今回のスクールソーシャルワーカーの配置は大いに歓迎するところであります。カウンセリング機能の今後につきまして教育現場でのお声をお聞きしますと,子供,親,教師の悩みに対応し,カウンセリング機能を十分に発揮させるためには調整役が必要と,コーディネーター機能を求められております。また,第三者の役割強化も重要だと考えます。家族の会やNPO,ボランティア等の活用や,学校以外の第三者機関の積極活用など教育委員会が主体となって取り組むべきでありますがいかがですか。教育長の明快な答弁を求めるものであります。 次に,がん教育の推進についてお尋ねいたします。がん教育とは,がん検診の重要性や予防のために必要な生活習慣の見直しと共に,生きる力を子供の頃から意識付けるため,学校現場で教えるものであります。本年6月,向こう5年間のがん対策をまとめた新たな推進基本計画が示されました。我が国のがん対策は,2006年制定のがん対策基本法を踏まえたがん対策基本計画を基に,放射線治療,緩和ケア,がん登録の3点を重点課題として本格的にスタートし,その後,子宮頸がん,乳がん,大腸がんの検診無料クーポンの実現や子宮頸がんワクチン公費助成制度の創設など予防対策が一層拡充されてきたところであります。こうした中で新たな計画では,緩和ケアが現場にいまだ浸透していない現状を踏まえ,引き続き放射線治療,緩和ケア,がん登録の三つの重点課題に取り組むことになりました。また,新たに数値目標を掲げて,受動喫煙や職場での喫煙ゼロを目指す取組をはじめ,小児がん対策,さらに,がん教育の推進が盛り込まれたところであります。 国会では先ごろ,超党派でがん教育を推進するため,「いのちと生きる力を育む「がん教育」議員連盟」の設立に向けて動き出しました。がん教育に先進的に取り組まれている東京大学医学部附属病院の中川恵一准教授は,日本は世界一のがん大国であるにもかかわらず,教育現場で命の大切さ,がんとの向き合い方などを学び考える機会がないとして,「生きるの教室」という健康教育プログラムを立ち上げられ,全国幾つかの公立,私立中学校の2年生を対象に,命の大切さ,生きる力を学んでもらおうと,がん教育を推進されております。本年7月,私は,京都で初めて開講されました「生きるの教室」の授業の模様を参観させていただく機会を頂きました。授業時間は途中休憩を入れて90分,命の大切さを学ぶセクション,がんとの向き合い方を学ぶセクション,最後に,他人事ではなくがんという病気を自分自身のこととして捉える,いわゆる「自分ごと化」と言いますけれども,「自分ごと化」するセクションの3段階のプログラムで学ぶものでありました。特に,「自分ごと化」のセクションでは,自分にとって大切な人が,もしがんになったらどうするかを自分自身で考え行動することを学ぶとともに,がんの治療中の人や,がんの病気に実際に向き合っているNPOの方々の体験を対話形式で学ぶなど正に生きた健康教育となっているのが非常に印象的でありました。こうした取組は,教育現場でも今大きな反響を呼んでおり全国的にも共感の輪が広がっていると伺っております。 そこで,教育長にお尋ねいたします。私は,本市においても,がん予防を推進するため,「生きるの教室」のプログラムを,がん対策の所管局である保健福祉局と,健康教育を所管する教育委員会が共同プロジェクトとして取り組み,教育現場でモデル的に実施し,健康教育効果の検証をされてはどうかと考えます。掛け替えのない生命の大切さを学ぶことは,自殺防止や,いじめ根絶に向けた一助にもなるものと確信いたします。実施に向けた積極的な答弁を求めるものであります。 次に,本年8月,自民党,民主党,公明党の3党の修正合意により成立いたしました子ども・子育て支援法に関わりまして,今後の保育行政の課題についてお尋ねいたします。子育て支援の将来にわたる安定財源の確保と,幼児教育と保育の質と量を高める観点から制定されました子ども・子育て支援法については,プール制を堅持し民間保育所や昼間里親等の努力によって保育行政を進めてこられた京都市においても,これから新たな課題に向き合うものとなります。支援法では,幼稚園,保育所ともに,共通の施設型給付に一本化され,また,これまで国の財政支援がなかった小規模保育,家庭的保育など多様な保育に対しても,地域型保育給付として支援がなされることになります。そのほか,保育料を京都市に納付徴収する従来のシステムから,利用者が直接園に納付する契約制度の変更や,地域開放型の事業所内保育の実施,保育行政における住民参加の仕組みづくりなど今後平成27年度までに克服しなければならない多くの課題を抱えていると言えます。 そこで2点お尋ねいたします。1点目は,地域型保育給付として創設される小規模保育への対応であります。多様な保育ニーズを担ってこられた市内77箇所の認可外保育所や,また,現在,保育ママという国制度を活用して運営されてきております市内37箇所の昼間里親に対して,どのような方針で今後対応されていかれるのかお答えください。 2点目は,子育て支援の政策プロセスに参画できる仕組みづくりについてであります。2015年度以降の安定的な子育てシステムを構築するためには,小規模事業者への意向調査や,保護者及び保育所,幼稚園等の関係者との連携を深めることが重要であります。私は,それをより実行ならしめるため,子育て支援における政策の企画,検討段階から関係者及び市民が参画していく仕組みとして合議機関を早期に作ることが不可欠だと考えます。子ども・子育て支援法には,地方自治体でのこうした合議制機関の設置は努力義務とされております。しかし,本市としては,早期設置に向け積極的に検討すべきと考えます。いかがですか。小規模保育の対応方針と子育て支援のための合議機関の早期設置について答弁を求めるものであります。 最後に,京都駅南口駅前広場整備計画についてお伺いいたします。一度バブル期に頓挫し,長年の懸案となっておりました南口駅前広場整備計画がこのほど策定されました。今後都市計画決定を受け,来年度より工事着手されることになりますが,南区民の一人としても感慨ひとしおであります。当計画では,使いやすく人に優しい交通結節点としての機能を確保する「歩くまち・京都」の玄関口としての顔,おもてなしの心を備えた広場を形成する京都観光としての顔,そして,活気あふれるにぎわいの広場を形成する地域経済活性化としての顔の三つのコンセプトの下に,現在の6車線を4車線に,広場空間も現行の8,800平方メートルから1万3,100平方メートルまで拡大,確保することになっております。合意形成に至る経過の中で,御尽力いただきました関係団体事業者の皆様に心より敬意と感謝を申し上げる次第でございます。今後は,都市計画決定後の事業化に向けて詳細に詰めていかれることと思いますが,詳細設計においては,当初の計画を踏まえながらも観光客や市民利用者の安全を確保するための横断歩道の整備やバリアフリー化,アバンティ等を中心とした地域活性化の誘導策,地球環境に配慮した空間の創出等の課題に対して柔軟に対応しつつ,真に「歩くまち・京都」にふさわしい事業であっていただきたいことをまず強く要望しておきたいと思います。 今回の整備計画では,観光客をもてなす観点から,新たにアバンティ前に300人規模のバス待ち広場と観光バスプールが確保されております。地べたに座りながら乗車を待つ修学旅行生を見てきた一人として,今回の改善策を大いに期待しておりますけれども,一方で,観光シーズンになればバスプールに入りきれない多くの観光バスが時間待ちのために周辺道路に待機することも予想されます。こうした状況は地球温暖化防止の視点や,「歩くまち・京都」の視点からも決して好ましいものではありません。これを機に,スムーズなバスプールの運用システムを構築すべきと考えます。 そこで,市長にお尋ねしたいと思います。京都市が,阪神高速8号京都線の高架下等を活用しパークアンドライドとして駐車場事業を展開することになりましたが,この駐車場を活用し,京都駅南口で待機発着する観光バスのショットガン方式による交通マネジメントシステムの創設を検討されてはいかがでありましょうか。ショットガンシステムは,仙台市のタクシー待ちでも導入されておりますけれども,観光バス発着プールのスペースはできるだけ少ない台数で対応し,確保されている最寄りのバス一時駐車場とネットワーク化を図り,発車したバスの空き状況に応じ順次観光バスを送り出す,いわば観光バス発着をスムーズに交通整理するシステムであります。バス会社としても,市民や観光客にとっても,有効な交通マネジメント手法だと私は考えます。導入に向けた取組方針を市長からお聞かせ願いたいと思います。以上,市長並びに関係理事者の誠意ある答弁を期待をいたしまして,私の質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(大西均) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 大道義知議員の御質問にお答えいたします。 防災,減災の計画的な推進と財源確保についてでございます。本市では,東日本大震災発生後,早期に京都市防災対策総点検委員会を設置し,徹底した総点検を行い,あらゆる防災対策と今後の方向性,具体策の検討を行う取組を進めてまいりました。そしてこの委員会から提言された130項目の事業について,市民の皆様の命と暮らしを守るためスピード感を持って具体化の取組を全力で進めているところであります。取組の推進に当たりましては,大道議員御指摘のとおり,「はばたけ未来へ!京プラン」実施計画においてあらゆる行財政改革を徹底することにより,今後4年間の事業費として873億円の財政見通しを立て,緊急度の高いものから着実に具体化を図ってまいることといたしております。この130項目の事業には,特に都市の防災力強化に向けたインフラ整備などは更に長期的な視点を持って計画的に防災,減災対策を進める必要があると考えております。他方,南海トラフ巨大地震に関わる被害想定等も踏まえ,今後国におきまして災害対策法制の見直しや防災,減災対策推進,さらには巨額の財源の確保対策についても積極的な議論を進めていただくことが大きく期待されているところであります。このため長期的計画については,そうした国の動向を注視しつつ,また,本市の経済活性化や雇用創出の視点,さらには関西広域連合の取組やあるべきアセットマネジメントの指標も見据えまして慎重に検討を進めていきたいと考えております。 また,事業推進のための本市の当面の財源の確保についてでありますが,例えば道路整備事業におきまして,予定していた新規路線工事着手をやむなく先送りいたしまして,緊急性の高い橋りょうの耐震補強に重点化を図っているところであり,今後もこのように公共投資全体の中で選択と集中を徹底することによって,必要額を確保してまいります。さらに,国に対しましては本市の防災,減災対策として必要不可欠な事業を着実に推進していくため強力な財政支援措置を引き続き強く求めてまいります。 次に,子ども・子育て支援法への対応についてでございます。本年8月に公布された子ども・子育て支援法等は,幼児期の保育や学校教育,地域の子ども・子育て支援を総合的に推進しようというものでございます。子育ての根本は,親,家庭,地域,社会が子供の育ちや学びをしっかりと支えることにあります。この新制度の実施に当たりましては,京都の関係者の皆さんが長年の努力で築いてきていただいた本市の優れた幼児教育,保育の水準を更に向上させ,全ての子供たちに良質な子育て環境を保障し,子供を大切にする社会の実現につながるよう取り組んでいくことが極めて重要であります。 お尋ねの小規模保育についてでございますが,本市独自の昼間里親制度につきましては,新制度の下で認可事業として充実が図られる見込みとなっており,子供たちが家庭的な雰囲気の中でゆったりと保育される場として,今後とも,大切な役割を担っていただけるよう取組を進めてまいります。また,認可外保育施設につきましても,施設に入所する子供たちのより良い保育環境を確保する観点から,指導,監督を通じて保育水準の向上を図るとともに,基準を満たした施設は小規模保育施設に移行し,財政措置が受けられるように取り組んでまいります。 次に,地方自治体の合議制機関,いわゆる地方版子ども・子育て会議についてでございますが,来年4月の法施行後,議会の議決を経て,できるだけ速やかに設置し,幼稚園,保育園をはじめとした子供の学び,育ちに関する多くの方々や学識経験者に御参加いただき,京都ならではの市民力を生かした施策の立案や推進を図ってまいります。今後とも子育て環境日本一の京都の実現を目指し,子供たちの健やかな育ちと保護者の方々の子育ての支援に全力を挙げてまいる決意であります。 次に,京都駅南口駅前広場整備計画についてでございます。京都駅南口駅前広場は,昭和36年の新幹線開通以来,時代の変化に合わせた大規模な改良が行われずに,交通結節機能の強化などその整備が長年の懸案となっておりましたが,関係団体,関係機関の御理解,御協力により昨年3月に整備計画を策定し,本年4月には設計素案を取りまとめたところでございます。この計画は,これまで車道として使われていた空間の一部を歩行者のためのゆとりある広場空間に再配分することなどにより,人と公共交通優先でユニバーサルデザインに優れ,まちのにぎわいを生み出す「歩くまち・京都」の玄関口としてふさわしい駅前広場を整備するものでございます。 観光バスにつきましては,観光シーズンに乗降場に入りきれないバスが八条通にあふれている現状を改善するため,現行の倍の規模である12台の乗降場をアバンティ前に整備いたしますが,修学旅行生等が新幹線で集中して到着する際に対応できるよう運用方法の工夫などソフト施策を講じることも極めて重要であります。大道議員御提案の阪神高速8号線京都線の高架下駐車場を観光バスの待機場として活用するショットガン方式,ちょっと言葉が物騒ですけれども,ショットガン方式というのは非常に優れていると思いますので,この交通マネジメントシステムは南口駅前広場のように限られたスペースしか確保できない乗降場の入庫待ち車両対策に非常に有効な方法であります。今後,京都府バス協会や関係機関等とも調整し,乗降場の空き状況の確認方法など諸課題を整理しつつ,ショットガン方式の交通マネジメントシステムの導入について積極的に検討してまいります。南口駅前広場の整備に当たりましては,引き続き関係団体,関係機関等と十分な連携を図りつつ,できるだけ早い時期に都市計画決定を行い,来年度の工事着手に向けて全力で取り組んでまいります。 以下,教育長が御答弁申し上げます。 ○議長(大西均) 生田教育長。 〔生田教育長登壇〕 ◎教育長(生田義久) いじめ根絶に向けた取組についてでありますが,議員御指摘のとおり,すべての教師がいじめを見抜く力を持ち,子供たちが抱える多様な課題に迅速に対応することが重要であります。本市では,生徒指導,教育相談に関する年間約50回にも及ぶ教員研修を実施するとともに,学校の要請に応じて指導主事を校内研修へ100回以上派遣するなど熱意あふれる教師の指導力の一層の向上に取り組んでおります。また,現在,学級担任等が日々の観察に加え児童生徒一人一人の様子や学級全体の状況をアンケート形式で把握し,適切な指導に生かすことができるクラスマネジメントシートの開発を進めるとともに,昨年度に作成しました中学校教員用の指導資料に加え,小学校教員用の指導資料の作成に取り組んでおります。スクールカウンセラーにつきましては,全国に先駆けて市立中学校,高等学校,総合支援学校全校へ配置しておりますが,更に小学校への配置拡大を進め,平成27年度を目途に全校に配置いたします。 また,研修会の実施やスーパーバイザーの指導助言によりスクールカウンセラーのスキルの向上を図るとともに,各校でのいじめ対策委員会への参画,教師への専門的見地からの助言を通じ学校のカウンセリング機能の向上を図ってまいります。議員御提案のスクールソーシャルワーカーにつきましては,現在7名が24校の小中学校で活動するとともに,必要のある学校に随時支援を行う派遣方式を試行しておりますが,来年度,国の動向も踏まえ増員を検討してまいります。御提案のNPO法人の活用等につきましては,これまでから不登校支援に関わってNPO法人や保護者との連携を進めており,今後いじめ問題においてもそうした実績を踏まえ,コーディネーター機能の在り方や家族会等との連携についても検討してまいります。今後とも大学や臨床心理士会,社会福祉士会などとの協力関係の下,スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカーの専門的機能を有機的に結び付けることにより,教師一人一人の指導力の向上を図り,子供たちの健やかな育ちと学びの実現に取り組んでまいります。 次に,がん教育の推進についてでありますが,がんは今日我が国において誰にも身近な疾病となり,がん予防の推進が極めて重要であります。国においては本年6月にがん対策を総合的かつ計画的に推進するための基本方針を定めたがん対策推進基本計画が見直され,がんの教育普及啓発の一環として5年以内に学校での教育の在り方を含め,健康教育全体の中でがん教育をどのようにするべきかを検討し,検討結果に基づく教育活動を実施することが目標として掲げられました。また,京都市民健康づくりプランにおきましても,がんを予防する生活習慣や定期的ながん検診を行動目標に掲げており,子供のころから望ましい生活習慣の形成を図る教育を推進することとしています。こうした中,子供たち一人一人ががんを身近な病気であると認識し,がんとの向き合い方などを学ぶことを通じて命の大切さを考える機会を持つことは,議員御指摘のとおり健やかな体を育むだけではなく,自己を尊重し,他者を思いやる心を育み,自殺防止などの具体的行動にもつながるものと考えております。現在,本市におきましては,生活習慣病について学ぶ保健体育の授業や早寝早起き運動の推進など学校教育活動全体を通して子供たちに望ましい生活習慣を自ら実践する力を育てるとともに,保護者への働き掛けを積極的に進めております。また,中高生に対する子宮頸がんワクチンの無料接種の奨励や,医師などがたばこによる肺がん等の健康被害について講義する防煙セミナーなどの取組を進めてまいりました。今後,議員御提案の教育プログラムの学校現場でのモデル実施を含め,保健福祉局と十分連携を図りながら,がんに関する正しい理解を深め,将来的ながん検診の受診にもつながるよう健康教育の取組を進めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) 次に,市政一般について,湯浅光彦議員に発言を許します。湯浅議員。 〔湯浅光彦議員登壇(拍手)〕 ◆(湯浅光彦議員) 大道義知議員,国本友利議員と共に公明党京都市会議員団を代表し,市政一般について質問いたします。右京区選出の湯浅光彦でございます。よろしくお願いいたします。 まず,「防災・減災ニューディール」に関連して災害時に対する市民への情報伝達及び避難訓練について伺います。昨今,短期集中ピンポイント豪雨が頻発しております。加えて台風の季節となってまいりました。昨年の台風12号では紀伊半島一体が大きな被害に見舞われ,続く台風15号では名古屋市で100万人を超える市民に対して避難勧告が出されました。後にこれらの災害についての検証では,那智勝浦町では人手不足のため避難勧告を出すことができず,名古屋市では避難基準を詳細に設け次々に勧告を発しましたが,この勧告が多くの住民に伝わらず,災害のひどかった地区では130人以上の方々が逃げ遅れボートによる脱出を余儀なくされたとのことでした。後に「避難勧告を何で知ったか」とのNHKのアンケート調査によると,携帯電話によるエリアメールが27パーセント,広報車によるスピーカー伝達が21パーセント,知人からの連絡が18パーセント,学校,幼稚園からが15パーセントとの結果でした。エリアメールでの確認が一番高かったわけですが,それでも例えば「右京区の一部」などの表現であり,自分の地域がそれに当てはまるのかどうか判断が付かず,「詳しくは名古屋市のホームページを見てください」と書かれていたため,そこにアクセスが集中し,結局見ることができなかったとのことです。 一方京都市では,本年7月15日未明,右京区,西京区,北区において1時間に90ミリを超える集中豪雨,8月14日には宇治市をはじめとした京都府南部地域に集中豪雨が発生いたしました。災害に遭われた方々に対し心からお見舞いを申し上げます。本当に以前には考えられなかった突発的とも言うべき集中豪雨災害が起こっております。防災減災対策の着実な実行を強く決意するものです。と同時に災害時における自助,共助,公助の観点から日頃の避難訓練の重要性がいやまして高まっていると思います。毎年9月1日は防災の日として大規模な避難訓練が実施され,私も京都市で初となる広河原,久多地域における原子力災害を想定した避難訓練に参加してまいりました。住民の皆様の真剣な姿や初めて見る放射能スクリーニング検査など緊張感漂う内容でした。訓練の種類については,大きく分けて今回左京区で実施されたように大規模な参加集合型総合訓練をはじめDIGと言われる机上訓練やHUG避難所運営訓練などが上げられます。どれも大切な訓練であることは言うまでもありません。 しかし一方で災害はいつどこで発生するか分かりません。特に大規模災害においては同時多発的に発生し,各人が自らの命をどう守るか,どう避難するかという,より実践的な訓練が必要です。近年,訓練の形態としてシェイクアウトと呼ばれる登録参加型避難訓練が注目を集めております。シェイクアウトとは「地震をやっつけろ」という意味で,2008年にロサンゼルスで始まり毎年10月の第3木曜日に実施されます。この訓練の特徴は,統一した地震シナリオに基づき訓練日時を指定し,各人が今いるその場所で,DROP(頭を低く),COVER(体,頭を守って),HOLD ON(揺れが収まるまでじっとして)という自身の安全を守るための行動を同時に実行する訓練です。第1回訓練では,学校などを中心に570万人が参加し,第4回では実に950万人が参加したとのことです。日本では京都大学防災研究所の林先生の提唱により,東京都千代田区において本年3月9日13時にシェイクアウト訓練を実施し,区民約2万6,000人が同時刻に,いる場所は違っても安全行動を各々の状況で一斉に実施されました。このシェイクアウト訓練は中央防災会議で決定した平成24年度総合防災訓練大綱案にも掲載されています。9月1日には千葉市で,9月5日には大阪府で350万人がエリアメールと併せて実施いたしました。メールが届かなかったなどの課題も指摘されておりますが,エリアメール,NTT災害伝言ダイヤル,各種携帯電話会社の災害用伝言版,ツイッターなど有効とされる手段について是非とも訓練に取り入れ,このシェイクアウト訓練を実施してはいかがかと提案いたしますがいかがでしょうか,お答えください。さらには,高齢者などは情報通信端末の取扱いが不得手な方も多く,こういった手段が使えるよう民間事業者,NPO法人などに講習会も積極的に開いていただくよう働き掛けていただきたいと思います。お答えください。 次に,学校体育館防災機能強化におけるリニューアル事業についてお伺いします。学校体育館は,ほぼ全ての区域において避難場所として指定されており,災害時にはまず小学校へとの認識が市民には浸透しております。京都市においては,地震に備え学校耐震化については全国に先駆け取組を進め,昨年度全ての幼稚園,小中学校において100パーセント耐震化を進めていただき大変評価しております。京都市としての今後の取組は,教育現場としての体育館整備と共に避難所としての防災機能を十分に備えた施設へと整備を進めていくことであります。昨年5月定例議会において全会一致で政府に対し「公立学校施設における防災機能の整備の推進を求める意見書」を可決,提出するとともに,京都市としても取組を強化するよう求めてきたところであります。京都市の学校体育館は老朽化が進行している施設が多く一日も早い整備が求められますが,防災機能強化について避難所機能の強化,特に避難所としての居住性の向上を目指して整備をするとの方針の下,平成24年度初年度当初予算としてリニューアル整備事業に向けた調査研究費500万円,改装事業約3億円で現在執行中です。リニューアル時には居住性,環境の観点から洋式トイレ,断熱材やLED照明,自家発電装置,テレビアンテナ配線や電話機用配線など整備していく必要があると考えます。また,体育館整備に当たっては老朽化の度合いや私の居住する学区内の太秦小学校などは学童が1,000人を超えるマンモス校であり,地域住民世帯も約8,000世帯と大世帯であります。いざ災害が発生した折の避難所としての役割はいやまして大きくなることは想像に難くありません。一方,山間部に位置する高雄小学校などは,7月の集中豪雨でも判明しましたが雨がグラウンドから校舎に流れ込む構造となっており,避難所としての機能を考えるとき周辺を含めた整備が必要であり,ともに是非とも早期の事業着工を強く願い要望するものであります。先日の文部科学省発表による学校施設の非構造部材の耐震化は約3割との報道でしたが,京都市は70.4パーセントと着実に進めていただいており評価いたします。残された3割への耐震化も含め京都市として今後どのような基準で学校体育館防災機能強化等リニューアル事業を進めていかれるのか現状と併せお答えください。 次に,土砂崩れ対策について伺います。この7月14日の集中豪雨では右京区での23箇所をはじめ全市で53箇所発生いたしました。幸いにも人的被害はありませんでしたが,山間部を抱える京都市としては,がけ崩れ対策は重要な事業です。現在京都市としても着実に事業を進めてはいますが,やはりここでも多額の費用を要するものであり,財政とのにらみ合わせての事業進ちょくとなっております。そこで提案ですが,この土砂崩れをはじめとした斜面の崩壊を防ぐ対策として今コンクリートを使用しない斜面を守り森を再生する全天候型フォレストベンチ工法が大きな注目を集めております。(パネルを示す)具体的に申し上げますと,このフォレストベンチ工法は栗原光二さんという方が考案され,右京区宕陰でもおなじみの棚田からヒントを得て開発されました。棚田は狭あいな日本の地形から自然の知恵を最大限に生かしたものであり,自然災害に強く,斜面を守る構造となっています。この構造を応用し,局地的豪雨や地震から斜面を守る目的で開発され,国土交通省,東京都などの地方自治体等で2012年3月現在全国で約85箇所の実績があります。東日本大震災では気仙沼湾で15メートルの高さになった津波が10段のフォレストベンチを駆け上り強烈な引き波を起こしましたが,フォレストベンチの通水性と引っ張り力が勝り個人宅を守り抜いたとのことです。この工法は,コンクリートの擁壁と違い土砂による階段状の擁壁のため,土砂によるすき間が通水性,保水性,流動性によって衝撃を緩和し変形後も破壊を免れます。つまり地震に対して衝撃波を受け流し,豪雨においては水が斜面ではなく水平面で受けるため,地下に流れ,水の流れを緩やかにすることになります。また,水平面は逆台形状のスペースとなり,そこには水平な植生基盤が確保され,肥沃度を増して森が迅速に再生します。一方この水平面が南斜面であれば一部を利用して太陽光パネルの設置面とすることも可能と言われております。幹の根は時間とともに太くなり引っ張りに耐える力は鋼材の半分にも達し低コストと恒久安定に貢献します。最も安価でこれ以上は風化,劣化することのない土砂が主材料であり,材料劣化の激しいコンクリートとは違い極めて経済的に地球環境改善が実現できます。また,土砂を主な材料とし表面に間伐材など使用するため,これらを有効に活用することは環境に優しい京都市の林業や中小の土木事業者にとり産業と雇用の活性化につながります。是非ともこのフォレストベンチ工法を京都市としても取り入れていただきたいと思いますが,御所見をお聞かせください。 次に,脱法ハーブいわゆる違法ハーブ対策についてお尋ねします。麻薬に似た幻覚症状を引き起こすにもかかわらず規制するのが難しい脱法ハーブが今若者らを中心に広まっており吸引による事故が多発するなど社会問題となっております。京都府薬剤師会発行の「京都薬報」7月号によると,違法ドラッグとは,「麻薬又は向精神薬には指定されていないが,それらと類似の有害性が疑われる物質であり,人に乱用させることを目的として販売等がされるものと定義され,2000年以降覚せい剤や麻薬等の規制薬物に類似した構造の化学物質が合法ドラッグと称し販売され乱用が急増した。合法ドラッグと聞くと,あたかも所持や販売が規制されておらず安全な薬物のように思われるが,販売者が戦略的に付けた名称にすぎない。その後行政機関は誤解を招かないよう合法ドラッグを法的規制の間をすり抜けた薬物という意味で脱法ドラッグと呼ぶようになったが,厳密には無承認無許可の医薬品に該当し,2005年9月より違法ドラッグと呼ばれるようになった。そして脱法ハーブも間違いなく違法ドラッグの一つである」とされております。この脱法ハーブは,インターネットで簡単に購入ができ,値段も1袋4,000円から5,000円程度で,厚生労働省によると脱法ハーブを含む脱法ドラッグ業者は3月末時点で全国で389業者に上っており,京都府警によると府内では7店舗,うち京都市内には4店舗があるとのことです。私も地域で少年補導の役員をさせていただいており,この夏には右京警察署よりお越しいただきこの脱法ハーブについてのお話を伺いましたが,吸引を目的としての販売でなければ吸引者も含め逮捕することはできないとのことでした。しかし現実には脱法ハーブが原因とされる救急搬送や事故は後を絶たず,警視庁によると脱法ハーブを吸引し体調不良で救急車を要請した人は,今年の1月から5月の5箇月間,東京都内で99人と既に昨年1年間の実に9倍です。そのうち10代から20代の若者が64パーセントと若者への影響が大きくなっております。京都府では昨年6月から今年の5月までで32人が救急搬送されており,未成年が6人,20代が14人と東京と同じ傾向です。また本年2月には名古屋市,4月には横浜市で死亡事例もありました。また,吸引者が車を暴走させる事故も相次ぎ,6月にはこの京都でも追突事故が発生し3人の方が負傷され,7月には大阪府の中学校非常勤講師が違法ハーブによる吸引による事故を起こし逮捕されております。 これらの事態を憂慮し,公明党としても国に対して成分構造が似ている物質をまとめて禁止する包括指定の導入や,11月には国内で流通していなくても海外で危険性が指摘されている違法ハーブについては事前に規制するなど対策を急がせているところです。一方,地方自治体においても東京都が健康に悪影響を及ぼす化学物質を知事指定薬物とし,製造や販売,使用を禁じるなど国基準よりも厳しい条例を制定し対策を強化しています。また,大阪府や愛知県でも条例制定に向けての取組がされていると伺っております。もちろんこれらの条例制定は基本的には京都府の管轄であることは承知しておりますが,京都市としても京都府と連携し条例制定に努力していただきたいと強く要望するものです。一方,教育委員会,保健福祉局では,薬物乱用防止教育を着実に実行していることは承知し,また評価しているところであります。時間のない中でのやりくりは大変であるとも思いますが,先ほど紹介した「京都薬報」では,この薬物乱用防止教室において薬学部の大学1年生が小学6年生に教えているとの興味深い事例の報告をしていただいております。これらも参考に,教育委員会として現場に対して過度な負担とならないサポート体制を充実させ,覚せい剤や麻薬はもちろんのこと,入手へのハードルが低いこの違法ハーブについて,身体に悪いから絶対に使っては駄目だという強い意志を育むとともに,ドラッグを勧められたときの上手な断り方など生徒のトラブル回避能力を具体的に身に付けさせる乱用防止教室を関係者の方々の協力をいただき実施していただきたいと思いますがいかがでしょうかお聞かせください。 最後に,若年性認知症対策についてお尋ねいたします。この若年性認知症は,65歳以上の老人性認知症と同様にアルツハイマー型や脳血管型,前頭側頭型,レビー小体型などがあります。全国で約4万人の患者さんがおられるとのことです。この疾患については,渡辺謙さん主演の「明日の記憶」や先ごろテレビドラマで放送された「ビューティフルレイン」でも取り上げられましたが,発症が65歳以下の働き盛り,特に50代の男性に多く発症することから高齢者の認知症とは違った多岐にわたるサポート体制が必要となります。私も50代であり,もし自分がこの若年性認知症になったらと思うと,その不安ははかり知れないものがあります。特に失職に伴う経済的損失,御本人,配偶者,子供への心理的衝撃ははかり知れません。早期の診断が必要ですが,実際,最近おかしいなと思いつつ,まさかとの思いから御本人自身が早期に診察に行かれることも少なく,家族や職場から,いつもと違うことが多すぎるといったところからの気付きに始まり,何とか診察を受けられても,うつ病などと混同され治療が遅れてしまうなどの課題が指摘されております。京都市におきましても,高齢者に較べ若年性についてはまだまだ十分な対策が採られているとは言えません。実際に京都市にどれだけ若年性認知症の方がおられるのか,正確には把握しきれてはいないのが現状です。 このような状況の中,患者,家族を支える全国初のワンストップ相談窓口「東京都若年性認知症総合支援センター」が5月にオープンし,大変好評とのことです。このセンターでは専門のコーデネィーターが,専門医情報の提供や治療の助言,勤務先との調整,財産管理の相談,訪問,通所サービスの情報提供,各種社会保障手続に関する助言などを一括して行っております。「突然若年性認知症と診断された患者家族の多くはどこに何を相談すべきか,どんな支援があるのかすら御存じないのが実情であり,重度になってようやく相談するケースが多い」とこちらのセンター長は語っておられます。医師で公明党厚生労働部会長の渡辺孝男参議院議員は,「都の取組は相談対応と居場所づくりで極めてニーズが高い」と評価し,若年性認知症の対策は早期発見,治療への流れを作ることが重要であり,特に専門職による初期集中支援チームを各自治体に設置し,認知症と疑われる家庭に派遣できる体制整備を急がせたいと取組を進めております。現在京都市では,これら若年性認知症の方の相談があった場合,長寿すこやかセンターが受皿となりますが,この若年性認知症については,高齢者施策の枠を超えて,保健医療,障害福祉,雇用対策など関係各所と連携し,総合的な支援体制の構築,取組が必要であると存じますがいかがでしょうかお答えください。以上で私の質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(大西均) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 湯浅光彦議員の御質問にお答えいたします。 まず,避難訓練,特に情報伝達訓練及びシェイクアウト訓練についてでございます。市民の皆様への防災情報の伝達に関しましては,本市では,広報車や電話連絡網などの活用に加えまして,地上デジタル放送や電子メール,防災ポータルサイト,そして緊急速報メールなどICTを活用した多様な伝達方法を積極的に導入してまいりました。とりわけ緊急速報メールは即時性かつ広範性のある伝達手段であり,これとシェイクアウト訓練,これは湯浅議員御説明のとおり,市内各所で市民の皆さんに,例えば姿勢を低く頭を守り,揺れが収まるまで待つなどの安全行動を一斉に実践していただく訓練ですが,これらを組み合わせて京都市民はもとより通勤,通学者や観光客の皆様の御参加も得て一斉に実施すれば,防災意識の高揚と災害対応力の向上を図る上で非常に効果があると考えております。今後,この訓練に関しまして先進的な取組を行っておられる米国や他の都市の実践事例も研究しながら,本年度中に訓練が実施できるよう準備を進めてまいります。 また,お年寄りなど,いわゆる情報弱者と言われる方々に対しまして,これまでから,市や府の総合防災訓練におきまして,災害伝言ダイアルや災害伝言板の紹介に努めてまいりました。今後は通信事業者等にリーフレットの作成,配布のみならず,講習会の開催も働き掛けるとともに,本市におきましても出前トークや市主催行事において災害伝言ダイヤルや災害伝言板に関する普及啓発活動を積極的に実施するなど具体的な取組を更に進めてまいります。 次に,学校体育館のリニューアル事業についてでございます。本市立小中学校の体育館につきましては,改築等を進めている学校を除き100パーセント耐震化を完了いたしております。一方,今後10年間で築40年を超える学校体育館は約90棟に上り,そのうち50年を超える建物も多く,将来的に一斉に改築時期を迎えます。そのため,計画的にリニューアルによる長寿命化を図るとともに,災害時には体育館が緊急避難施設としての大きな役割を果たすことから,併せて防災機能の強化を図る必要がございます。整備内容といたしましては,学校を教育活動の場としての整備を基本に据えつつ,雨水,井戸水の利用設備の設置や市内産木材の使用など環境に配慮するとともに,避難施設としての機能強化として蓄電池付き太陽光発電設備の設置,外壁への断熱材の使用や窓への高断熱複層ガラスの採用,ペレットストーブ,簡易バス,シャワー付きの更衣室や仮設トイレ等の整備を計画をいたしております。 現在,教育委員会において,こうした整備内容の具体的な調査,検討を進めており,その結果を基に各校の体育館の老朽度,形状や構造,敷地状況等を勘案し,今年度中に基本計画を策定し,来年度から年間3校程度の整備に着手する予定でございます。また,校舎の外壁や照明設備等の非構造部材につきましては,経年劣化による落下の危険性が高まりますために,国の基準に沿って毎年定期点検を行っております。緊急に対応が必要なものについては,直ちに改修を行っております。湯浅議員御指摘の未実施の3割につきましても,専門家による調査結果を踏まえまして,順次改修し,3年をめどに完了いたします。 次に,若年性認知症対策についてでございます。湯浅議員御指摘のとおり,働き盛りの世代の方が若年性認知症を発症されますと,発症された御本人のみならず,その御家族の方の将来設計も含めて生活全般に対する大きな変化をもたらすことから,様々な負担と不安に応えていく取組が必要であると認識いたしております。本市といたしましては,これまでから認知症高齢者に対する専門機関として京都市長寿すこやかセンターを位置付け,弁護士や医師等による介護,医療に関する専門的な対応,認知症の人と家族の会との連携による家族への支援や講習会の開催等を行うとともに,認知症に関する啓発にも積極的に取り組んでまいりました。また,本年度からは新たに若年性も含めた認知症の方の権利擁護を担う京都市成年後見センターの設置運営や医療と介護の連携を深めるための認知症地域支援推進委員の配置なども取り組んでまいりました。若年性認知症対策に対する支援につきましては,京都市長寿すこやかセンターにおいて,これまでの蓄積や経験,ノウハウを生かして相談に応じておりますが,市民の皆様に若年性認知症に対する相談窓口であることを明確に,一層の周知に努めてまいります。さらに,湯浅議員御指摘のとおり,若年性認知症の方への対応に当たっては,高齢者施策の枠を超えた取組が重要であります。このため,今後本市の関係機関をはじめ若年性認知症の方や御家族の方に対する支援機関との間の連携を強化し,総合的な支援体制が確立できるように取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(大西均) 平口副市長。 〔平口副市長登壇〕 ◎副市長(平口愛一郎) 土砂崩れ対策としてのフォレストベンチ工法についてでございます。近年多発する局地的集中豪雨は,各地で多くの被害をもたらしており,本市におきましても,本年7月の集中豪雨の際には山間部を中心にがけ崩れ等の多くの災害が発生しております。本市では,市民の皆様の安心安全な生活を確保するため山間部における道路防災対策を進めるとともに,宅地災害の防止に向け土地所有者などへの相談,助言を行っております。これまで道路防災対策の工法の選定に当たりましては,地形,地質,気象,交通量など現地の状況を調査したうえで,工法の安全性,耐久性,施工性,経済性について検討するとともに,地球環境や周辺景観への影響も考慮し,現地にふさわしい対策工法を選定してきたところです。湯浅議員御提案のフォレストベンチ工法につきましては,今後国や他の地方公共団体等における施工実績を収集し分析することにより,本市の道路防災対策における適用の可能性について調査研究を実施してまいります。今後とも市民の皆様の安心安全な生活を確保するよう引き続き全力で取り組んでまいります。 ○議長(大西均) 生田教育長。 〔生田教育長登壇〕 ◎教育長(生田義久) 脱法ハーブ対策についてでありますが,薬物の乱用は,本人の体や心をむしばむだけではなく,本人,家族などの生活や人生を破壊し,更なる犯罪を引き起こすおそれもあるなど社会全体で根絶しなければならない大きな課題であります。特に近年は法的規制をすり抜けた脱法ハーブをはじめとした違法ドラッグなどの乱用の増加が見られ,大変憂慮すべき状況にあります。こうした中,本市では,保健体育の授業や道徳,特別活動等において,教科書や教育ビデオなどを活用し発達段階に応じた指導を進めるとともに,京都府警,学校薬剤師会,薬物依存症からの回復支援に取り組むNPO法人「京都ダルク」などと連携し,薬物依存の危険性などについて事例を交えて専門家が強く訴える薬物乱用防止教室を市立中,高等学校の全校で実施しております。また,4割弱の小学校におきましても薬物乱用防止教室を実施しており,今後一層その拡大に取り組んでまいります。さらにはPTAや地域生徒指導連合会など幅広い分野の100を超える団体が参画する人づくり21世紀委員会においても,「子どもを共に育む京都市民憲章」の行動指針に基づき,薬物乱用防止について検証会や啓発講座を実施するなど子供の命を脅かす緊急課題として重点的に取組を進めていただいております。今後とも学校薬剤師会や関係機関の協力をいただきながら,御提案の大学生を講師に迎えることなど大学等との連携も強めることにより,より実効ある薬物乱用防止教室の充実に努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) 次に,市政一般について,国本友利議員に発言を許します。国本議員。 〔国本友利議員登壇(拍手)〕 ◆(国本友利議員) 左京区選出の国本友利です。大道義知,湯浅光彦両先輩議員に続き公明党京都市会議員団を代表し,市長並びに関係理事者に対し質問いたします。明快な御答弁をいただきますようお願いいたします。 まず初めに,京都市の再生可能エネルギーについて質問いたします。公明党は,子供の生命と健康を守るために原発ゼロの日本をつくることを目指して2030年には再生可能エネルギーの発電率を30パーセントに引き上げることを掲げ,太陽光,太陽熱や風力,小水力,バイオマス,地熱などの再生可能エネルギーの利用拡大に向けて積極的な取組を強力に推進していくよう国に働き掛けています。エネルギー政策は本来国策が基本ですが,現在各自治体でも地産地消のエネルギー政策の取組が始まっております。また,地域住民が主体となってエネルギーを創る「創エネ」の取組も全国で活発になってきており,機運が高まってきています。京都市でも,住宅用の太陽光発電システムに加えて今年度から新たに蓄電システム,太陽熱利用システムの設置助成制度が導入され普及が進んでおります。さらに,我が公明党議員団の大道議員が他都市調査をした実態を踏まえ,昨年9月本会議で提案された市民協働発電制度について,市民の誰もが再生可能エネルギーの利用拡大に関わることができるよう,このほど京都市では,市民協働発電制度の検討委員会を設けられ,本年8月28日に第1回目の会議が開催されました。市民協働発電制度とは,市民の皆様に出資を募り市内の公共施設等へ太陽光発電システムを設置,発電された電力の売却益等を参加者に還元する制度であります。エネルギーを創る「創エネ」の取組として,市民力,地域力を誇る京都市において,市民協働発電制度は市民の強みを発揮できる有効な事業であり一日も早い制度の発足が待たれるところであります。より多くの市民の皆様に参加していただくために,設置場所の選定や出資額の設定など仕組み,仕掛けづくりが重要でありますので今後の検討を望みます。 さて,京都市における再生可能エネルギーの更なる発展を考えるならば,太陽エネルギー以外の取組も今後ますます重要であると考えます。京都市は,かねてから使用済み天ぷら油からバイオディーゼル燃料を精製する事業に先進的に取り組まれています。また,京都市内から排出される一般廃棄物からエタノールを製造する取組は,「都市油田」発掘プロジェクトとしてテレビでも放映され全国的に注目されました。このように,私は,京都市における再生可能エネルギーの更なる発展のためには,いわゆるバイオマスの普及拡大が非常に重要であると考えております。そこで,バイオマスの普及拡大についての今後の考え方と市長の決意をお聞かせください。 次に,エネルギーを創る「創エネ」の取組に対し,エネルギー使用に関する省エネの取組に関するお考えをお伺いいたします。この夏の節電につきましては,京都市役所で率先実行する節電対策をはじめ,市民,事業者の皆様の御努力の下,京都市内では,1日の使用電力量が7月分では平成22年度に比べ14.2パーセントの削減を実現することができました。京都市では,省エネの市民協働の取組として,現在エコ学区モデル事業を14のモデル学区で重点的に進められております。エコ学区事業とは,認定されたエコ学区においてライフスタイルの転換や地域力の向上に資する事業である省エネ学習事業や地域実験事業に取り組んでいただくものです。省エネ学習事業では,電気消費量の見える化や省エネ学習会の実施,さらには各家庭の省エネを個別診断し各家庭の現状を把握したうえで,ライフスタイルに応じた温室効果ガス削減方法を提案し,その提案の下に各世帯でエコ活動を実践していただいております。また,地域実験事業として省エネ,省資源の取組やライフスタイルの転換につながるような取組を地域の皆様からの提案を基に実験的に実践されておられます。このエコ学区事業については,京都の持つ市民力,地域力を生かし取り組めるエネルギーの使用,将来のライフスタイルの在り方を創造できるものとして高く評価しております。そこで,エコ学区事業の京都市全域へ拡充,拡大を積極的に図っていくべきではないでしょうか。あわせて,エコ学区事業について今までのモデル事業の成果を踏まえ,地域住民が自主的かつ持続的に活動,推進できるような仕組みづくりが必要と考えますがいかがでしょうか。御所見をお伺いいたします。 次に,京都市の情報発信及び住民サービスの向上について質問いたします。現在,スマートフォン等の携帯情報端末の急速な普及に伴い,国内外から訪れる観光客にとって施設情報,観光地への交通アクセスなどの観光に便利な情報を入手しやすい環境を整備することは非常に有効な手段となっています。特に外国人観光客については,スマートフォンやタブレット型の携帯情報端末でインターネットを利用する際に通信料が高額になることから,観光庁の調査においても外国人旅行者が旅行中に困ったことの第1位が「無料公衆無線LAN環境が整っていないこと」となっています。さらに,市民や国内の観光客からも外出先で快適にインターネットを使いたいというニーズが多いことに加え,災害時における通話,通信の遮断に備え携帯電話回線によらない情報入手経路を確保する必要があります。このような課題を改善するために,京都市では,先進的にスマートフォン等の携帯情報端末の利便性向上を図る取組として,京都市公衆無線LAN整備事業「京都どこでもインターネット」KYOTO_WiFiというサービスを,バス停や地下鉄駅,セブン-イレブン,公共施設等において誰もが無料でインターネットを利用できる無線LANスポットを本年8月中旬以降,全国最大規模の市内630箇所に順次設置し運用が開始されます。 このように,京都市においてハード面としての無線LAN環境が整備される中で,ソフト面でもサービスの提供と充実が必要であると考えます。現在日本においても,また,世界的にもスマートフォン及びタブレット等の携帯情報端末が急速に普及しています。本年7月に総務省が公表した「平成24年度版情報通信白書」においても,スマートフォンが大きく取り上げられており,スマートフォンの普及により利用される方の行動を大きく変えるとされています。現に青年層をはじめとする幅広い世代の人々がスマートフォンを利用し,それに加え学生やビジネスマン等は勉学や仕事などでタブレット型の携帯情報端末を利用されています。これらの点を踏まえ,スマートフォンをはじめとする携帯情報端末を利用して京都市の情報発信を目的とした京都市独自のアプリケーションソフトの導入が有効であると考えます。アプリケーションについては,現在まで個人情報の流出やウイルス感染などの課題,問題はありますが,セキュリティ対策も充実してきており,安全性の向上も図られてきております。京都市では,既に4部署で七つのアプリを作成しており,ツイッター,フェイスブックについては24部署で51のサイトを開設されております。携帯情報端末による情報提供の推進は,京都市の事業を市民に周知し,利用者を増やすための有効な手段であります。また,アプリについては,ダウンロード数やユーザーからの率直な評価が得られるため,市民,観光客等のサービスの改善についても,効果的であり,その可能性は更に広がるものと考えます。 そこで,総合的な京都市としてのアプリの導入や情報提供について積極的な取組が必要ではないでしょうか。観光案内はもとより市バス,地下鉄の時刻表や運行状況,各種検診事業や子育て支援情報などの情報を得ることができれば市民の利便性向上につながります。さらに,情報発信のみでなく施設予約,イベントの受付等を行えば市民生活の向上に大きく貢献できるのではないでしょうか。そこで,スマートフォン等の携帯情報端末を活用したアプリの導入について,更なる京都市の情報発信,サービス提供についての今後の取組方針をお伺いいたします。 次に,コンビニにおける証明書等の交付について要望をさせていただきます。現在,一部自治体で実施されている各種証明書等のコンビニ交付サービスは,交付業務を委託する自治体が発行する住民基本台帳カードを利用すれば,セブンイレブンの約1万4,000店舗のマルチコピー機から住民票の写しや各種証明書などを入手することができます。このサービスに,来年の2013年春から業界2位のローソンと同4位のサークルKサンクスも参入することになりました。財団法人地方自治情報センター調べでは,本年8月1日時点で,コンビニでの交付業務を委託している自治体は56市区町村で,政令指定都市では福岡市がこの8月1日からサービスを開始しています。現在,京都市内のセブンイレブンの店舗数は146店舗。来春から大手2社が参入し,3社が交付サービスを取り扱うことになりますと,利用可能店舗が386店舗となり全市域へ広がり今後の展開が期待されるところです。コンビニ交付サービスは,自治体の窓口が開いていない日でも6時半から23時の間,証明書を取得することができ,市民が必要なときに都合のいい場所,居住自治体以外にある店舗でもサービスを受けられます。近年,共働き世帯や高齢者世帯が増加している中,非常に便利な行政サービスの一環であると思います。京都市としても,長期的視点に立てば市民サービスの向上につながり,窓口業務負担の軽減などコスト削減の効果にもつながると思われます。あわせて,大規模災害に直面したとき,東日本大震災後の被災自治体で発生している窓口業務の膨大さと被災者への行政サービスを考えますと,コンビニ交付の導入は,被災者に対しての公的支援と自治体の責任と役割を果たす一助になることは間違いありません。市民サービスの向上の一つとして,京都市としても導入を積極的に検討していただくよう要望いたします。 次に,市民と共に創造する景観政策についてお伺いいたします。京都市では,平成19年,京都を二分する激論を経て景観条例を制定いたしました。当時,議会においても,様々な利害関係者からの御意見等も十分に受け止め,最終的に八つの項目を含む決議をいたしました。中でも50年後,100年後の京都を見据えた景観とはいっても,良好な景観が維持され創造されゆく経過を市民に十分に周知し,市民と共につくり上げることこそが景観政策の本義であるとして,景観白書の作成や景観検証システムの構築を求めたのであります。当時は,高さ制限の強化だけが一人歩きした感は否めませんでしたが,その後,条例制定前の京都市立病院の北館建替え,条例制定後の京都大学病院病棟の建替え,京都会館の建替え,そして島津製作所の建替え等高度地区の制限を超す計画推進について,市民からはルール無視との手厳しい御意見も伺っています。こうした建設計画は,特例許可の京都大学病院病棟建設以外は,全て都市計画法に基づく地区計画手法であります。しかし,地域のまちづくり計画を推進していくうえで,地域住民の計画段階からの参加と共に,合意形成後のまちづくりを将来にわたり事業者と地域住民が共に共働し,まちづくりの主体者として景観を守っていく仕組みが欠如しているように思えます。京都市行財政局では,今後市有地の売却等を通じて4年間で200億円を捻出する計画も提起していますが,京都市の土地を売却し,それを活用してまちづくりにも貢献するというならば,今後も地区計画手法の活用が望ましいと考えますが,この手法が多用されることへの強い懸念を表明される市民もおられます。私は,今後の京都市のまちづくりにおいて,地区計画手法を用いる場合には,住民参加,景観政策との整合性,市民目線のまちづくりなどを重視して,一定の指針を示すべきであると考えます。景観条例施行後5年が経過した今こそ,市民と共に創造する景観政策という視点が必要ではないかと思いますが,今後の地区計画手法によるまちづくりの方針について市長のお考えをお聞かせください。 最後に,京都市民の安心と安全を守るための,消防局の取組についてお伺いいたします。この9月定例会で議案として提出されている新たな消防司令システムは,今後,多機能情報端末,特にスマートフォン等を利用し,災害現場の情報を音声主体からリアルタイムの映像が配信され,情報収集能力が格段に上がると期待をしています。その上に立って,災害時の情報収集を主な目的とし導入された消防バイクについて質問いたします。この平成24年7月9日から,京都府内で初めて京都市消防局において機動二輪車いわゆる消防バイクが3台導入され運用を開始いたしました。この消防バイクは,危機事象などの災害現場や大規模災害発生時において,機動性を生かした情報収集や状況確認を効果的かつ効率的な防災活動につなげることを目的とし,災害現場状況をデジタルカメラ,ビデオカメラ及び携帯電話などを活用し本部へリアルタイムに映像を配信するために出動します。消防バイクの運用は災害時の市民の安心安全を確保するため非常に有効な手段として高く評価するものでありますが,今後いかにして消防バイクを活用していくのかが課題であります。消防バイクの出動はもとより,今後出動されるあらゆるデータを蓄積し消防バイクの有効性を検証していくことで,京都市特有の消防バイクの活用方法が確立できるものと考えております。また,消防バイクと消防ヘリとの連携や,他の消防車,救急車との連携を図っていくための訓練,実践の積み重ねが重要であります。さらに,大規模災害時に備えるためにも消防隊員の技術の習熟度を上げていくことや現場での柔軟な対応を養っていくことが必要であると考えます。京都市においても南海・東南海地震の影響や直下型地震の大規模災害をはじめ,最近では豪雨による災害も起きています。そのような災害に備えるためにも,消防ヘリや消防車両との連携及び訓練,消防バイク出動データの蓄積と分析など,今後の消防バイクの更なる活用方法についてお聞かせください。以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(大西均) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 国本友利議員の御質問にお答えいたします。 まず,バイオマスの普及拡大についてでございます。バイオマスをはじめとする地産地消の再生可能エネルギーの普及拡大は,地球温暖化対策の推進や原子力発電に依存しない持続可能な自立分散型のエネルギー社会の構築に向けて極めて重要であります。本市では,家庭から回収した使用済み天ぷら油からバイオディーゼル燃料を精製しごみ収集車や市バスを走らせる取組を市民ぐるみで推進することで年間約4,000トンのCO2削減に貢献するとともに,全国バイオディーゼル燃料利用推進協議会の会長である私が先頭に立ち,国等に対して積極的に政策提言を行ってきました。また,昨年3月に,京都市バイオマス活用推進計画を全国に先駆けて策定し,昨年度からは大学や企業との連携により,紙ごみや生ごみから純度99.5パーセントのエタノールを製造する全国初となる「都市油田」発掘プロジェクトを実施するなど新たな取組を進めております。さらに,今年度からは,事業者や市民の皆様の協力の下,中央市場や複合商業施設において生ごみからエネルギーを回収する低コストでコンパクトなバイオガス化施設の事業化に向けた調査を実施しているところであります。今後ともバイオマスの普及拡大に向け,京都ならではの高い市民力,地域力,また,大学等の力を生かしまして取組を推進するとともに,より一層産学官の連携を更に強めまして環境モデル都市として先導的な役割を果たしてまいりたいと考えております。 次に,景観政策と地区計画制度についてでございます。50年後も100年後も京都ならではの景観をしっかりと守り,かつ147万京都市民が生き生きと暮らしていける活力あるまちづくりが大切であります。景観政策は,高度地区や景観地区などの都市計画等を活用し建築物の高さやデザインの基準を定めており,これらを地域ごとに根差していくためには一律の基準だけでなく,まちや街区単位などで地域の特性に応じたルールを定めることが景観政策推進のうえで大変重要であると考えております。そのためには地区内に必要な道路や公園などの配置,建築物の用途や高さなどのまちづくりのルールを総合的に定めることができる地区計画制度の活用が大変有効でございます。この地区計画制度は,京都市基本構想や都市計画マスタープランを踏まえ,地域における景観や住環境の保全,市民生活の質の向上及び都市の発展に寄与する将来ビジョンの実現に向けて,市民の皆様にとって真に必要なまちづくりを進めていくため,地域ごとのコンセンサスを大切にして活用していくものであると考えております。今後とも新景観政策における高さ規制や地区計画制度の活用の考え方も含め,市民の皆様により一層の御理解をいただけるよう努めるとともに,国本議員御提案の市民と共に創造するというまちづくりにとって大事な視点をしっかり持って,優れた景観づくりと活力ある都市づくりに取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(大西均) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) エコ学区事業についてでございます。エコ学区事業は,節電をはじめ省エネを地域ぐるみで取り組むことにより,増加傾向にある民生,家庭部門からのCO2を削減するとともにエコ活動を通した地域力の向上を目的に,昨年度から各区・支所ごとに1学区ずつ,山科区については区内全学区において2箇年のモデル事業を実施しているところであります。現在,モデル地区におきましては,例えば古着の交換会や乗合自動車の運行実験などによるCO2の削減はもとより10数名のチームで省エネ学習会に取り組むことにより地域のきずなが深まるとともに,地域独自で実施されているお祭りなどとエコ活動を融合させることにより,これまで地域活動に関心がなかった方が参加されるなど地域力の向上にもつながる大きな効果がありました。これらモデル事業の成果を踏まえますと,住民自らが地域に根差したエコ活動のテーマを見出だして自ら行動いただく,正に自主的,持続的な実践こそが地域全体の省エネ型ライフスタイルへの転換につながっていくものであると考えております。そのため,今後こうした視点に十分配慮し,例えば学区内での住民間の情報の共有と発信の強化や,本市から派遣しているコーディネーターと住民との更なる意見交換など,地域住民の皆様の自主的な取組が更に持続発展できる仕組みを充実,強化してまいります。そして「はばたけ未来へ!京プラン」実施計画に掲げる平成27年度までに全学区に広げ,全学区が地域ぐるみで環境に優しいライフスタイルを実践するエココミュニティ,エコ学区となるよう全力を傾注してまいります。以上でございます。 ○議長(大西均) 平口副市長。 〔平口副市長登壇〕 ◎副市長(平口愛一郎) 消防バイクの活用についてでございます。東日本大震災や近年多発する集中豪雨などの大規模災害では,ヘリコプターの上空からの映像情報等により,その概要については早期に把握することができました。しかしながら,陸上部隊の進入には時間を要したため,現地の詳細な被災状況を把握できず初動期の救助,救援活動の着手に時間を要することとなりました。本市では,このような教訓を踏まえ,消防ヘリの活動と並行して速やかに被害状況を把握し必要な消防力を効果的に投入することを目的として,本年7月に消防バイクの運用を開始いたしました。7月15日に発生した豪雨災害の際は,オフロードバイク特有の機動力を生かして北区の浸水被害や右京区の土砂崩れ現場の映像をいち早く消防指令センターに配信し,迅速,的確な水防活動の実施に効果が認められました。国本議員御指摘のとおり今後は消防ヘリや消防部隊との連携訓練を積み重ね,消防バイクによる地上からの情報収集を組み合わせた立体的な状況把握を行い,本年4月に祇園地域で発生した集団救急事故のような事案にも的確に対応してまいります。さらに,祇園祭などの祭礼や京都マラソンなどのイベントにおきましても積極的に活用するなど消防バイクの可能性を追求し,市民や観光客の皆様のより一層の安心安全につなげてまいります。 ○議長(大西均) 岡田総合企画局長。 〔岡田総合企画局長登壇〕 ◎総合企画局長(岡田憲和) 情報発信及び住民サービスの向上についてでございます。国本議員御指摘のとおり,今日スマートフォンなどの携帯情報端末が急速に普及しており,本市がこれらの携帯情報端末を活用した情報提供サービスを展開することにより,市民の皆様や観光客の方々の利便性の向上に大きく貢献することができるものと認識いたしております。本市におきましては,国本議員御案内のとおり,誰もが無料でインターネットを利用することができる無線LANスポットを市バスのバス停や地下鉄全駅など全国で最大規模となる約630箇所に設置する「京都どこでもインターネット」KYOTO_WiFi事業に取り組んでおります。こうした利用環境を整備するハード事業とスマートフォンのアプリなどを活用したソフト事業は情報化推進における車の両輪であり,これらを共に推進していくことが必要であると考えております。このため本市におきましては,これまでから動物園の園内案内や京都国際マンガ・アニメフエア等の各種イベント周知など一部の分野においてスマートフォンのアプリをはじめツイッター,フエイスブックなどによる情報発信を行ってまいりました。今後は市民の皆様や国内外からの観光客の方々の利便性の更なる向上を目指して,情報セキュリティの確保に万全を期すとともに,携帯情報端末を活用した情報発信を積極的に展開するための具体的な手順や留意点をまとめたガイドラインを年内を目途に策定し,本市の情報発信,サービス提供をより総合的,戦略的,体系的に推進してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) 暫時休憩いたします。 〔午後3時休憩〕 〔午後3時25分再開〕 ○議長(大西均) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について,江村理紗議員に発言を許します。江村議員。 〔江村理紗議員登壇(拍手)〕 ◆(江村理紗議員) 私は,右京区選出の江村理紗でございます。ただ今より地域政党京都党京都市会議員団を代表いたしまして,市政一般について質問いたします。 まずは,いじめ問題についてです。今回,大津市で大変痛ましいいじめの報道がなされて以降,大阪,兵庫,広島など全国から相次いで過去のいじめの告訴等がなされるなど,いじめの問題が大きく取り沙汰されています。中には被害者生徒が自殺に追いやられるケースさえあり,非常に深刻な事態となっております。また,学校側でいじめの可能性を把握していたにもかかわらず,いじめの事実を否定し,捜査が入った後にいじめの事実を認めるといった事例も目立っております。こういった状況の中で改めて学校対応が問われております。いじめは,児童生徒の大切な教育環境を脅かす社会問題です。大津市の件と同じような深刻な事件を絶対に京都市で起こしてはなりません。そのためにも,議会としてこの問題を取り上げたいと思います。大切な子供の命を守るため,少々細かなことにも触れさせていただきます。 さて,いじめの認知件数は全国で年間約7万件,学級制度や班行動など半強制的な集団行動が求められる環境はいじめの温床ともなりやすく,そういった意味で学校は非常にいじめが起こりやすい場所と言えます。そして近年のいじめは,加害者と被害者の間に周りの児童生徒が割って助けることが減っていることや,いじめられる対象が昔よりもはるかに流動的になっていることが特徴として挙げられます。周りの児童生徒がいじめをはやし立てたり,いじめを見て見ぬをふりをすることも多く,いじめを更に悪化させることもあります。また,家庭の教育力の低下や,個人の思いやりが希薄化していることもあり,いじめ被害者個人だけでは対応しきれない深刻な状況に発展しやすくなっています。いじめの被害者になった児童生徒は学校へ行くことが憂うつになり,授業中や休み時間,学校行事,あらゆる場面で不安に陥ります。そしてついには,不登校やうつ症状,また学習障害などをもたらし,ひどい場合には自殺にもつながります。これは,本来安心して受けられるべき義務教育の環境を著しく脅かすものです。こういった危険性が,どの児童生徒にも流動的かつ突発的に起こり得るとすると,非常に多忙な教育現場の中であっても特に本腰を入れて対応に励むべき課題ではないでしょうか。 以上の現状を踏まえたうえで問題点を口述させていただきます。京都市のいじめの認知件数は平成22年度で220件あり,その内訳は,小学校で156件,中学校で54件,高校で4件という結果となっております。これは単純に計算して,いじめが最も発生しやすいと言われる中学校においても4校に1校はいじめが全く認知されていないという計算になります。近年における京都市の1,000人当たりの認知件数は2件前後と全国平均の約6件を大幅に下回っています。認知件数の多い熊本県では,平成22年度で27.6件であり,その差は京都市の14倍に当たります。これらの数値から考えると,京都市では,いじめの発生件数がそもそも少ないというより認知されていないいじめが水面下に相当数潜んでいるのではないでしょうか。その理由として,いじめ発見のためのアンケートに着目します。 文部科学省の平成22年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査によると,いじめ発見のきっかけは,学級担任の発見,アンケート調査,いじめ被害者本人からの訴え,いじめ被害者の保護者からの訴え,以上の4項目で80パーセント以上を占めます。京都市では,年に1度しかアンケートを実施しない学校の割合が多い状態ですが,年4回以上アンケートを行っている自治体の多くでは認知件数が高くなる結果が如実に現われております。このことからもアンケート調査はいじめ発見に対してもっとも効果的な一つではないでしょうか。現在京都市では,学級担任によるいじめ発見の割合が高い一方で,アンケートによる発見はわずか一,二パーセントにとどまっております。京都市のいじめ認知件数が少ないことはアンケート調査によるいじめ発見が少ないことに関連しているようにも思われます。また,活用できていないという面で,アンケートの内容にも注視してまいります。 (パネルを示す)すみません,大変小さくなっているんですけれども,次に出すのが,他都市のアンケートを提示しますので,そちらとサイズを合わせて文字を小さくしております。こちらが京都市の教育委員会から学校に指示をしているアンケート項目です。質問項目は,「友達とのことで悩んでいることはあるか」,「悩み事は次のうちどれか」,「友達からどのようにいじめられているか」,「いじめをなくすためにはどうすればよいか」といった4項目にとどまります。一方で,次に表示するのが熊本県のアンケートです。(パネルを示す)こちらが熊本県のアンケートです。認知件数の高い熊本県を見てみると,質問項目は14項目であり,いじめ被害者だけでなく,いじめを傍観している人間も視野に入れながら,最後にはネットいじめにも言及しております。そのため,京都市のアンケートは児童生徒の指導用とされていますが,もっといじめの実態を把握する意味合いで,傾向と対策をつかむ調査資料として生かしていただきたいと思います。各学校での裁量を残しながらも,負担をできるだけ減らし,京都市として統一的なデータを残せるようにすることが望ましいと考えます。 そのほかにもアンケートで配慮すべき点があります。まず第一に,いじめに特化したアンケートにすることです。調査方法は生活実態調査に付随したものよりも,よりいじめ問題単独に特化することで当然いじめの発見率が高くなることが文部科学省の統計からも見てとれます。そして第二に,教職員のいじめ発見への強い姿勢です。児童生徒がいじめアンケートになかなか口に出せない本音を記入するには,少なからず心理的負担が伴います。いじめ被害者にとっては,加害者側に不審に思われれば更にいじめが増すのではないか,また周りの人間にとっては,事実を漏らせば次は自分がいじめの標的になるのではないかといったリスクが常に生じます。児童生徒たちにとって,「ちくる」という感覚がいかに恐怖であるか,これをしっかりと認識したうえで実施する必要があります。京都市の現状は,教室で一斉にアンケートを取っておりますが,自宅に持ち帰って記入し後日提出する,マークシート式を多く組み込む,いじめについて書くことがない場合は関係のない文章を書き写してもらうことで全員がペンを動かしている状態にするなどの対策を講じるべきだと考えます。 以上のことから,保護者や教師の目に触れにくいいじめをキャッチするためのアンケートをうまく活用できておらず発見を逃がしているのではないかと考えられます。たかがアンケートと一見さ末なものに感じられても,大変な事件が起こってからでは取り返しがつきません。そのうえで,アンケートの回数を増やし,いじめの内容に特化する形で項目を充実させ,取り方にも工夫を凝らすべきではないでしょうか。京都市はアンケート調査でのいじめ発見がわずか2パーセント程度という非常に低い状態を踏まえたうえで,今後の改良への御見解をお示しください。 いじめについてはもう一点,いじめ発見後の京都市のスタンスをお伺いします。今回いじめ問題が過熱する中で,東京都品川区では,いじめ加害者への出席停止を積極的に進めていくとの見解を発表しました。現在,出席停止は全国的にも実施例は少ないのが現状ですが,いじめが悪質化する中で,いじめの抑止力や教育現場の安全配慮として一定程度出席停止の積極的な適用を検討する自治体も出てきております。ただ,京都市においては,学校外でのいじめ発展や加害者生徒の反省にそれほど効果がないとの点で前向きな検討はなされておりません。確かに出席停止や別室登校を積極的に進めることは,義務教育との整合性に配慮が必要となります。しかし児童生徒が非常に深刻な環境に立たされている危険性を考えれば,一定の抑止力は必要であると私たち京都党市会議員団は考えております。加害者が安心して義務教育を受ける安全配慮も必要ですが,それ以上に被害者や周りの児童生徒の教育環境を整えることに目を向けることが重要だと考えます。出席停止や別室登校の是非を巡る姿勢から,各自治体の教育委員会が今後いじめ発覚後の対応に積極的に取り組もうとしているかどうか,その意識の差が感じられます。京都市として,是非いじめ加害者の対応に苦悩する学校現場の負担を少しでも軽減し,安全な教育環境を提供するための方針をお示しいただきたいと思います。この姿勢は,現場職員の対応に大きな影響をもたらすものであると思います。教育委員会の承認が必要な措置について,その指針を示すことで,現場の判断のブレを抑え,いじめ対応業務をより円滑に進められる態勢を望みます。是非今一度,いじめ対応への強い意識をお示しください。 次に,昨年の五山送り火で陸前高田市から取り寄せた薪の取扱いについてお伺いいたします。平成23年度の五山送り火の際に,残念ながらたくことのできなかった薪は,1年余り京都市内で保管されていましたが,ようやく幹の芯の部分を使って鎮魂,慰霊,復興支援の思いを込めた工芸品として一つの使い道が示されました。しかし,使われた幹は大きく皮を取った芯の部分のみで,皮の部分や薪の形状が不整備だったものに関しては現在も倉庫に残されたままです。そのため,いまだに昨年セシウムが検出された部分については具体的な措置がなされておりません。京都市は,今年の7月において,受け入れた薪のセシウムの検出されていない幹の芯の部分を使って工芸品を作り,その他の部分の取扱いについては,今しばらく時間を掛けて検討したいとの取扱い方針を出されました。そして,それから2箇月が経ちましたが,現状はいかがでしょうか。瓦れき広域処理の処理要請見送りによって,薪の解決方法の検討が期待されていた専門家委員会も既に解散してしまっております。この専門家委員会では,セシウムを含んだ薪について何らかの方針が出されていたのでしょうか。改めて専門家委員会で何らかの検討が始まっていれば,その進捗をお示しください。あるいは専門家委員会では解決策が見出されていない場合,今後検討していかれる御予定はどのようになっているでしょうか。いずれにしても,取扱い方針として示された,幹の芯以外の部分の取扱いにおける「今しばらく」とはいつまでのことを指されておられるのか,お考えをお示しいただきたいと思います。以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(大西均) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 江村理紗議員の御質問にお答えいたします。 陸前高田市から取り寄せた薪についてでございます。東日本大震災による被災者への鎮魂,慰霊,復興支援のために,昨年夏,本市が独自に取り寄せたものであり,その取扱いについて慎重に検討してきました。そこでセシウムの検出されていない幹の芯の部分を使って工芸品を作ることとし,本年7月から検査で安全を確認したうえで,京都伝統工芸大学校や京の山杣人工房木輪舎の御協力を得て,仏像や色紙立てを作製していただいております。すばらしいものが出来てきております。また,この取組に賛同いただいた京都仏教会からは,色紙立てにと寺院の御住職により揮毫された立派な色紙も頂きました。これらにつきましては,その趣旨を踏まえまして市民の皆様に披露する機会を設けるほか陸前高田市にお届けするなど今日まで御協力をいただいた皆様のお気持ちを十分に生かしてまいりたいと考えております。また,表皮等の分につきましては本市の施設で保管しておりますが,放射線量は自然界で計測される数値と同程度であり,専門家から健康上問題がない安心安全なレベルであると確認いたしております。 なお,京都市災害廃棄物広域処理に係る専門家委員会は,東日本大震災で発生した災害廃棄物の処理につきまして被災地の復興支援と市民の安心安全の確保との両立に向け安全性を検証することを目的として設置したものであり,薪の取扱いを検証するために設置したものではございません。今後,現在保管しております薪の取扱いにつきましては,市民の皆様の安心の確保を最優先に,幅広い識者の意見を聞きながら引き続き慎重に検討してまいります。 私からは以上でございます。以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(大西均) 生田教育長。 〔生田教育長登壇〕 ◎教育長(生田義久) いじめに関するアンケートについてでありますが,本市では,全児童生徒を対象にしたアンケートを実施し,毎年度ごとに各校に趣旨の再徹底を図りアンケートの内容の充実及び有効活用に努めているところであります。いじめは,どの児童生徒にも起こり得るものであり,また,多感な時期にある子供はいじめの事実をアンケートには答えない場合もあることから,本市では,常日ごろから周囲の大人が気付くことが最も重要であるとの認識の下に,教職員による見逃しのない観察,手遅れのない対応,心の通った指導を徹底的に実践し,昼夜を分かたず取り組んでいるところであります。 文部科学省の調査においても,学級担任等が発見した割合が全国平均を大きく上回っております。こうした取組に加え,各校においてはアンケートの実施を通して教職員一人一人がいじめについて改めて考える機会を持ち,その内容や方法について検討しており,アンケートの項目につきましても「日々の学級活動を楽しく過ごせているか」,「困り事や不安はないか」などの質問等を加えることにより児童生徒がより答えやすい内容とするなど各校独自に工夫を重ね実施しております。こうした実践を基に,今年度中には本市独自のアンケート方式によるクラスマネジメントシートを開発することとしており,子供たち一人一人の学級での様子を把握するとともに,その結果を他の児童生徒の回答と関連付けて分析することで学級全体の状況を担任等が容易に把握でき,いじめなどに対する適切な指導に生かすことができると考えております。今後ともいじめはどの子供にも,どの学校でも起こり得るものであることを認識し,アンケートについて議員の御提案や他都市の実践事例も参考にして,必要に応じいじめに特化した内容とすることや回数を増やすことを検討するなどいじめの早期発見に向けた取組を推進してまいります。 次に,いじめへの対応についてでありますが,本市では,「いじめは人間として絶対許されない」との認識の下,日頃から子供たちに他人を思いやる心の優しさ,正義感,生命を大切にし人権を尊重する態度を育むための教育活動を各校で進めております。さらに,全校にいじめ対策委員会を設置し,いじめを把握した場合には担任等が抱え込むことなく全教職員が課題と情報を共有し組織的な対応を行う中で,加害児童生徒はもとより,その保護者にも働き掛け毅然とした指導を行っております。また,そうした粘り強い指導によっても,なお,いじめが継続する場合には,複数の教職員が常に注意深く様子を見守る,あるいは家庭と連携して加害児童生徒を別室に登校させるなど被害児童生徒の安全と学習を保障するとともに,加害児童生徒に対して更なる厳しい指導と立ち直りに向けた取組を行うなど,各校において最大限の努力を重ね,粘り強い指導を進めております。 出席停止につきましては,文部科学省の通達において,本人に対する懲戒という観点からではなく,学校の秩序を維持するために学校が最大限の努力を行っても解決しない場合に講ずるものとされております。本市においてもその趣旨を踏まえ運用指針を策定しており,別室登校等の措置によっても,なお問題行動を繰り返し他の児童生徒の学習に深刻な影響を与えている場合には,当該児童生徒の立ち直りや学習の支援にも配慮しつつ,教育委員会の権限と責任において運用指針に基づき毅然とした姿勢で臨み,出席停止を措置することとしております。今後とも一人一人の子供を徹底的に大切にする本市の教育理念の下,保護者,教育機関とも一層連携し,子供たちの健やかな育ちのために全力で取り組んでまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) 次に,市政一般について,佐々木たかし議員に発言を許します。佐々木議員。 〔佐々木たかし議員登壇(拍手)〕 ◆(佐々木たかし議員) 中京区選出の佐々木たかしでございます。地域政党京都党市会議員団を代表いたしまして質問いたします。 まず初めに,本年2月定例会でも大きな問題となりました技能労務職の職員採用再開問題について伺います。この採用再開問題は,「信頼回復と再生のための抜本改革大綱」という市民との約束をほごにする行為であると考え,地域政党京都党とみんなの党・無所属の会は,現業職の採用を再凍結させるための条例案を提出いたしました。残念ながらこの条例案は可決に至りませんでしたが,京都市会としては,「技能労務職への職員の採用の再開に関する決議」を採択しました。この決議では,「市長が市会に対して十分に議論する機会を与えることなく技能労務職への職員の採用を再開したことは,試行であるとはいえ甚だ残念である」と大変厳しい文言が盛り込まれております。こういった市会の意志も踏まえたうえで市政運営に当たっていただいていると思いますが,今回の試行はどのような結果をもたらしたと認識しておられるのでしょうか。また,間もなく採用の時期がやってまいります。現在この件に関しては市会に対する説明もございませんので,採用再開の継続はされないと理解しておりますが間違いないでしょうか。京都党としては,「民間にできることは民間に」という大原則の下,職員数の削減こそ行うべきであり,採用の再開を継続するなどということは今まで進めてきた改革を逆行させる暴挙であるということを改めて強く主張いたします。 続きまして,京都こそが担うべき役割,文化首都について伺います。本年3月に開催された京都の未来を考える懇話会において,文化首都に向けた一定の方向性が示されたわけですが,当初の予定ですと8月にはビジョンの取りまとめがなされ最終提言が出されているはずでした。しかし,このスケジュールが遅れていると伺っております。是非スピード感を持って取り組んでいただきますことを切に要望いたします。 さて,その取組に関してですが,京都の未来を考える懇話会の1次提案では,双京構想や文化庁,観光庁の誘致,クール京都構想など京都だからこそ担える役割がはっきりと示されており,夢のあるビジョンであると感じております。これらのビジョンはどれも重要なものであり,何としてでも実現しなければなりません。そしてこの中で最も重要で文化首都・京都を創造していくうえで根幹となるものが双京構想の実現です。「日本の大切な皇室の弥栄のために,東京だけでなく京都に皇族の方にお住まいいただくことを願う」とある双京構想ですが,これは京都だけではなく日本という国の在り方をも大きく左右する非常に大きな構想であるということも指摘しておかなければなりません。危機管理という観点から見ても,政治,経済の中心を東京が担い,芸術,文化の中心を京都が担うということは非常に合理的な国の在り方です。京都には天皇陛下が長らくあらせられ,皇室を中心に伝統工芸や文化,学術が育まれてきました。全国に点在する小京都という言葉が京都の都市格を示すとおり,正に日本文化を象徴するまちであります。そのようなまちであるからこそ,京都が日本で唯一,双京の担い手となり得るのです。 また,懇話会のメンバーでもある京都大学総長の松本紘氏は双京構想を見据え,こう指摘されています。「昔から京都には社会を安定させる哲学の発想があり,日本人の文化に根付いている。そのうえで,科学技術だけに頼って暴走させないための精神的な哲学,人生観というものが必要であり,そのためには安定的な文化都市が必要である」。このような指摘を踏まえ,双京構想の本質を問うていく中で,忘れてはならない点があります。それは双京構想がただ皇室の方に京都にお住まいいただくだけでは完成しないという点です。日本の歴史,文化,芸術,哲学,そういうものを一身に体現する象徴的な存在である皇室の方にお住まいいただくに当たり,文化首都を標榜し,この役割を京都が果たすためには,お迎えをする私たち京都人にも覚悟が必要だと考えます。京都とは何たるまちか,日本とはどういう国家なのか,天皇陛下とは我々国民にとってどのような存在なのか。私たち京都人は,今一度長い時の流れに思いを馳せ,託された思いを酌み取り,今を生きる私たちに対する祈りを知らなければなりません。その中で皇室の方をお迎えすることができたとき,初めて双京構想が実現するのです。 地域政党京都党といたしましても,文化首都の実現を基幹政策に据え活動している中で,この双京構想は強力に推進していかなければならないと考えております。本年2月定例会の御答弁でも皇室の京都居住に関するものがありました。あれから半年がたち,双京構想という言葉も出されましたので,双京という言葉の持つ意味,そしてこの双京構想実現に向けた取組の中で,京都市はどのような役割を担うべきなのかについて御説明ください。この構想は一朝一夕に実現するものではありません。しかし,この実現に向け一歩を踏み出すことは,京都そして日本の歴史を変える大事業であります。147万市民の代表として,覚悟を持って取り組んでいただけますようお願い申し上げます。 続きまして,もう一点,違う角度から文化首都について伺います。文化首都を実現するためには,双京構想の実現,文化庁,観光庁の誘致などはもちろん必須でありますが,これらの構想を実現すると同時に,京都における文化,芸術のすそ野を広げていく必要もあります。今,日本国内のみならず世界中で文化芸術に積極的に投資し,都市再生に成功した事例が多数生まれております。フランスのナント市やスペインのビルバオ市は文化芸術によって都市再生を果たした象徴的な成功例ですし,国内でも瀬戸内や新潟での取組は大きな脚光を浴びております。私が所属しておりますくらし環境委員会では,文化首都を年間テーマに掲げ研さんを重ねているわけですが,先日視察で伺った沖縄や福岡でも熱心に文化芸術に対する取組が進められており,非常に印象的でありました。京都は,幸い文化芸術の資産を多く持ちブランド力もあることから,非常に恵まれた環境にあると言えます。しかし,そういった状況に甘んじていれば,いつ京都のブランド力が通用しなくなるか分かりません。私は,他都市の成功事例を調べていく中で非常に強い危機感を感じております。是非この危機感を共有していただき,文化首都を目指し強力な取組を推進していただきたいと思います。 京都市では,平成18年に京都文化芸術都市創生条例が制定され,それに基づき,京都文化芸術都市創生計画が策定されました。本年3月にこの改訂版が作られたわけですが,この中で基本理念として「日常生活シーンの中に文化芸術が溶けこんでいるまち」とあり,はっきりと草の根アプローチの重要性がうたわれております。京都市においては,文化市民局所管の下,HAPSをはじめ全国的に見ても先進的な数々の取組が行われております。しかし,日常の生活シーンの中に文化芸術が溶け込んでいる状態とは程遠い現実があると私は認識しております。それは,この計画が京都市基本計画の分野別計画であるがゆえに,あくまでも局内や芸術大学,文化芸術関連施設等に展開がとどまっており,その結果,限られた市民にしか京都市の取組が広がっていないからであります。この計画が掲げる理念を実現するためには,分野別計画という枠を乗り越え,市役所全体でこの計画を実現していく体制の構築とアートやデザインという視点の共有が必要です。一見,文化芸術とは関連しないような局に文化芸術という視点を入れることによって新たな可能性が広がり,そして,それがひいてはすそ野を広げていくことにつながります。縦割りを排し,より効果的に無駄のない政策を実現していくという意味で,政策の融合という概念が使われておりますが,この融合という概念よりも更に飛躍した全庁一丸となっての取組こそがこの計画を実現するためには必要です。 京都市では,局の枠を超えて全庁一丸となり取り組まれている事例があります。例えば地下鉄5万人増客への取組は好例でしょう。本部が設置され,様々な局にまたがり274件ものアクションプログラムが組まれています。若手職員増客チームの取組も現在3期目に入っておりますが,斬新なアイデアが多数出されユニークな取組が展開されています。また,環境への取組も環境政策局内にとどまることなく,全ての事務事業に対する評価項目にまで入れられ政策の浸透が図られておりました。こういった分野では,「京都市として何としてでもやり切る」と,そういった非常に強い意志を感じますし,本気度が伝わってきます。是非,京都文化芸術都市創生計画にも本気で取り組んでいただき,まずは横串を通して全局でこの計画を共有する,そして現場からのアイデアを募り,それを実行する体制を構築していただきたいと思いますがいかがでしょうか。 また,先日委員会の視察で行きました沖縄県では,平田大一さんという民間で舞台の演出家として活躍されていた方が,新設された文化観光スポーツ部の部長に就任され,文化芸術への取組を推進されています。沖縄県全県版演出家という従来の行政にはなかった発想の下,沖縄の文化行政は大きく変わろうとしております。大阪でも同様に,著名なアートディレクターである佐藤可士和氏が大阪市,大阪府の特別参与に就任され,大阪の文化芸術重点地域として位置付けられている中之島ミュージアム構想の指揮を執られます。これらの事例の結果はまだ出ておりませんが,新たな流れが生まれていることは事実です。確かに,京都文化芸術都市創生計画でも審議会という形で有識者の声を聴く体制が執られておりますが,そこからもう一歩踏み込み,市役所内にその道の専門家に入っていただくことにより化学反応を起こし,従前の思考にとらわれることなく強力に計画を推進していただきたいと考えます。こういった民間人の活用に対する御所見も併せてお聞かせください。以上で私からの質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(大西均) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 佐々木たかし議員の御質問にお答えいたします。 双京構想についてでございます。佐々木議員御紹介のとおり,山田知事,松本京大総長,立石商工会議所会頭,柏原京都市観光協会会長や有識者の方々と共にオール京都の体制で京都の未来像を熟成していく「京都の未来を考える懇話会」におきまして議論を重ねたうえ,今年3月,30年後の京都の姿を描く「京都ビジヨン2040」の第1次提案を発表いたしました。この中で日本人の心の支えである皇室の弥栄のために,東京だけでなく,京都に皇族の方にお住まいいただき,東京と京都とが都としての機能を双方で果たす,すなわち双京構想の実現を提案いたしております。そして本年7月には,山田知事,松本総長,柏原会長と共に双京構想の実現に向けて国への要請を行ったところであります。 御承知のとおり,京都は1000年を超える長い歳月都であり続けました。悠久の歴史の中で,伝統や文化を大切に磨き上げつつ,我が国の精神文化やものづくりを牽引し,国内外の人々を魅了し続けてきた正に世界の文化首都,日本人の心のふるさとであり,皇族の方々にお住まいいただくにふさわしい都市であると私は確信いたしております。そして京都には,京都御所をはじめ皇室ゆかりの桂離宮,修学院離宮や門跡寺院などが数多く存在し,また,様々な伝統行事も幅広い市民の方々によってしっかりと継承されてきております。これらを訪れ,親しみ,大切にされる市民の皆様と共に双京構想の機運を醸成し,日本の未来のために,さらには世界の平和のために,その実現を目指して取り組むことが京都市として果たすべき大きな役割の一つだと考えております。市民ぐるみで文化,芸術,学問等の振興も含めて,引き続き努力してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(大西均) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 京都文化芸術都市創生計画の推進についてでございます。京都は,衣食住はもとより生活のあらゆる領域に文化芸術が溶け込んでいる世界にも例を見ない都市でございます。文化芸術が工芸,服飾,料理などと深く関わり,正に各分野の産業を先導する役割を果たすとともに,まちづくり,景観,観光に大きな影響を与えてまいりました。このような京都と文化芸術の関わりを踏まえ,本市では平成19年3月に京都文化芸術都市創生計画を策定し,文化芸術の振興と京都のまちの活性化を進めてきたところでございます。佐々木議員御指摘のとおり,計画の推進のためには京都市の職員一人一人が京都ならではの文化芸術の視点を共有し,各部局の政策や事業に反映させることが不可欠であると認識いたしております。そのためにも本市職員が文化芸術から生まれる発想をあらゆる行政の現場で生かせるよう積極的に研修等に取り組むとともに,文化芸術と産業,まちづくりなど他の分野との政策の融合と総合的な推進を図ってまいります。また,文化芸術を担うのは,あくまでも市民の皆様でございます。京都は,伝統文化の家元や世界的に活躍するアーティスト,研究者など多くの専門家を擁するほか,伝統産業に従事する方や伝統行事を支える方など文化芸術に携わる市民が多くおられます。そのため本市では,様々な文化事業を民間主導の実行委員会方式で進めるなど事業を推進するに当たりましては,こうした市民の皆様に中心となって活動していただいているところでございます。また,東山区で昨年度から着手しております若手芸術家等の居住,制作,発表の場づくり事業については,地域住民と協働し芸術家に適した空き家の紹介や閉校した元新道小学校を制作拠点とするなど正に地域に根差した取組を進めているところでございます。今後とも市民の皆様や地域とのしっかりとした連携の下,暮らしの中に文化芸術が生き生きと息づく世界の人々が集う文化芸術都市の実現を目指しまして,全庁一丸となって京都文化芸術都市創生計画を着実に推進してまいります。以上でございます。 ○議長(大西均) 田中人材活性化政策監。 〔田中人材活性化政策監登壇〕 ◎人材活性化政策監(田中照人) 技能労務職の試行採用についてでございます。本市では,これまでから間断なき市政改革に取り組み,平成19年度から23年度の4年間において,「未来まちづくりプラン」に掲げました1.300人を上回る1,444人の職員削減を行ってまいりました。さらに,本年3月に策定した「はばたけ未来へ!京プラン」実施計画の中の部門別定員管理計画におきましては,公民の役割分担の見直しや業務の更なる効率化,集約化などにより,平成27年度までの4年間に技能労務職を含め職員700人程度を削減することとしており,引き続き徹底した行財政改革に取り組んでまいります。特に技能労務職業務につきましては平成18年8月に策定した信頼回復と再生のための抜本改革大綱に基づき,職員の採用を凍結のうえ全14業務全てをゼロベースで見直し,そのうちの12業務につきましては民間委託や廃止の方向とし,職員を採用しないことといたしましたが,ごみ収集と道路河川等の維持管理の2業務に限っては,公衆衛生や都市機能の維持の根幹にかかわることから必要最小限の体制を直営で維持する必要があると判断し,また,大綱に掲げた環境政策局における技能労務職員の50パーセント削減及びごみ収集業務の50パーセント委託化の達成に一定のめどが立ったこと,さらに,採用の凍結により職員の年齢バランスが大きく崩れていることなどから,今年度試行的に採用を行い,4月1日付けで7名の職員を採用いたしました。本年2月の市会定例会において採択されました「技能労務職への職員採用の再開に関する決議」につきましては非常に重く受け止めております。試行採用の結果及びそれを踏まえた今後の方向性につきましては,当初御説明しておりますとおり半年間の勤務状況等を見つつ検証を進め,現在その取りまとめをしているところであり,今市会において御報告し,市会の皆様からの御意見を伺ってまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) 次に,市政一般について,清水ゆう子議員に発言を許します。清水議員。 〔清水ゆう子議員登壇(拍手)〕 ◆(清水ゆう子議員) 伏見区選出のみんなの党の清水ゆう子です。私は,病院の薬剤師として働く中で,特に女性が多い職場ということもあり,女性の働く環境や仕事と結婚,妊娠,出産,子育てとの両立,女性が人生を全うするということはどういうことかなどを考えてきました。選挙の際には,女性の雇用の問題やライフスタイルについて訴えさせていただきました。本日は30代の女性の視点から質問させていただきます。 まず1点目です。この7月に全国知事会より,女性の活躍の場の拡大による経済活性化のための提言として以下の内容が示されました。「男性も女性も一人一人がその存在を大切にされ,性別によって活動を制約されることなく,社会のあらゆる分野で可能性を広げ,個性と能力を十分に発揮でき,人生の段階に応じて生き方の選択肢が広がり,自己表現できるような社会が大切である。しかし,現状の社会を見ると,やはり男性は仕事優先であることが多く,長時間拘束され,自らが望んでいても家庭や地域への参画は困難なことが多い。(パネルを示す)一方で,女性は,出産や子育てを機にいったん仕事を辞め,育児が終了し再就職する際には非正規となることが多く,労働力率は30歳代を谷とする,いわゆるM字カーブを描いている。出産,子育てと仕事との二者択一により,社会的投資や女性が培ってきた知識や経験,キャリアが生かされないことは,個人にとっても,社会にとっても重要な損失である」との提言でした。また,女性の労働参加と子供を多く産み育てることには一定のプラスの相関があることも同時に指摘され,社会全体の意識を変革するうえで「ダブルインカム・スリーキッズ」といった明快なスローガンも必要であるとも言及されました。このM字カーブはスウェーデンやアメリカなど他の先進国においてもはや見られない現象です。今後の社会構造の変革をしっかり乗り切っていくためにそのM字カーブ解消と女性就業全体の底上げが必要として,国,地方自治体,企業などが何をすべきなのか提言としてまとめられています。この全国知事会の提言について,市長の御見解をお聞かせください。 関連して雇用の受皿としての京都市役所についてお伺いします。昨年度の京都市職員の一般事務職採用試験における最終競争倍率は,21歳から27歳が受験する上級Ⅰの約100名の募集では,男性が約9倍,女性が約7倍となっています。しかし,27歳から59歳までが受験する民間企業等職務経験者では約15名の募集で,男性21倍,女性15倍と競争倍率ははるかに高く,また男女の倍率差もより大きくなっています。男女差なく選考をしているのですから,女性の倍率が低いということは,言いかえれば女性の合格率が高いということです。しかしこの数字を見て分かるように,民間等の経験があり27歳以上の人が京都市職員として再就職する場合,非常に狭き門であり,チャレンジしにくい体制となっています。一方で,民間企業等の経験のある優秀な女性の方が多く職を求められていると言えるのではないでしょうか。 また最近では,市職員の方々から新しいアイデアを募集し,より一層のサービス向上に取り組まれ,高速鉄道事業などは着実に前進されていることと思います。そのような職員提案を更に活発にするためにも,また業務のより効率的かつ効果的な遂行を図っての最小コスト,最強パワーの市役所をつくるためにも,完全終身雇用的な従来の発想をやめ,聖域なき新陳代謝を進めることが貴重な税金で運営されている以上,肝要と考えます。そういった意味でも民間企業等で一定の経験を持ち即戦力になるような職員の更なる起用拡大を目指し,また,女性の有望な再就職先としての京都市役所にしていく必要があるのではないでしょうか。図のように,京都市も例外なく女性の労働力率はM字カーブで,決して谷は浅くありません。M字カーブの谷の底上げと解消に向けて,1万4,000人もの職員を抱える一大事業所であり,また市民の皆様の税金で運営されている京都市役所が率先して先進的な取組を行い,市民に範をお示しすることが必要ではないかと考えます。もちろん長期的な視点に立てば市職員の女性が若くして採用され,十分な雇用環境を職員に提供することで離職せずに就業を継続できていることはM字カーブの解消に寄与しているわけですが,今,職を求める30から40代の女性に対する短期的な施策をどうすべきかという観点で御見解をお願いいたします。 また,平成18年2月定例会で自民党の田中セツ子議員が女性職員の登用について質問されました。当時女性の課長クラス以上の職員はわずか7.9パーセントであり,一層の拡大を図るため「5年後には女性の部長クラス以上の職員の全局区への配置を目標とし,大いに活躍できるような取組を推進していきたい」と副市長が答弁されました。人材育成方針にて女性職員が配置されることの少なかった部署や幹部職員への積極的な登用を平成22年度までに図るとされました。そして引き続きの本年度までの人材活性化プランでは,役付職員の比率20パーセントを目標にすると明記,本年4月1日現在では女性の課長クラス以上の職員は20.3パーセントとなり,女性の持つ力をより一層発揮できる体制が進んだことは非常にうれしく,一人の女性として感謝し評価させていただきます。現在のプランは本年度をもって終了します。来年度からの計画策定に当たって,女性の登用についての方向性をどうお考えか併せてお答えください。このことは,単に女性だけの問題ではありません。女性の力を生かし,自らの希望に沿った豊かな人生を送ることを可能にすることは,男性にとってもメリットは大きく,企業の発展,地域,経済,社会の活性化,ひいては我が国の持続可能な未来社会につながっていくことを再度申し上げさせていただきます。 続いて,2点目です。今夏,電力需給見通しを踏まえ関西電力から約2箇月間の節電要請がありました。京都市では,いち早く対策本部を設置し,計画停電は何としてでも回避すると市役所が率先して節電を実行し,各事業者様や市民の皆様にも御理解,御協力を求めてきました。その結果,7月に京都市域で使われた電力の総量が,京都市が目標にしていた2010年7月比10パーセント削減を大きく上回り,14.2パーセント削減することができました。関電管内全体で11.1パーセント削減,京都府内全域では12.2パーセント削減という結果と比較しますと,京都市域における削減幅が非常に大きいものであることは明らかです。特に京都市内の家庭用の電力では実に16.8パーセントもの節電をいただきました。私は,この報告を受け京都市民の皆さんに感謝するとともに,お一人お一人の意識の高さに感動しました。今,まさに京都市が一丸となって節電に協力いただいた市民の皆様の思いを大切にし,一緒に今後のエネルギーに対して考えていくときではないでしょうか。その一つとして,従来型の個別の補助金制度や事業体又は行政単独の営利事業だけではなく,市民それぞれの協働体意識に直接的に働き掛ける仕組みを作り上げる必要性があるのではないかと思います。今だからこそ,大勢の市民を巻き込み公共機関への自然エネルギー導入をきっかけとした京都市独自の市民参加型のエネルギー変革を実行していただきたいと思います。官,住民,企業,大学などを含め取り組み,安心安全で快適な生活を送れるような京都市にしていかなければならないのではないかと考えます。まずは市民にどのようにエネルギー変革に参加をしていただくかについて見解をお聞かせください。 次に,京都市の取り組むべき範囲の広さについて質問いたします。電力の規制緩和により自由化が進んでいます。京都市の市長部局での一般競争入札分は金額費で約7割の電気を関西電力ではなく新規参入したPPS特定規模電気事業者の発電所から安く購入しています。本庁舎や225もの市立学校は全量がPPSの電気,言い換えれば原発ゼロで,かつ安い電気を調達していることになります。これは,貴重な税金を使うものとして同じ質のものを買うならより安くという当然の選択です。しかもこの電気は京都市内ではなく,PPSが費用を払って主に沿岸部の発電所から関西電力の送電ケーブルを使用させてもらいつつ,それでも安かったものです。このことを考えれば,京都市は,更に大きな視野で京都市民の使うエネルギー全てについて新しく従来の枠を超えた発想で,例えば京都市自らが他の自治体,企業,市民などとの協働で安全かつ安定した電力供給システムを構築していく役目もあるのではないでしょうか。また,電力供給だけに視点が行きがちですが,エネルギーを大事にする取組,地中熱や未利用熱,高効率住宅や高効率ビルをどのようにしてリードしていくのかも重要です。いつ起こるか分からない災害,また脱原発依存に向けて東日本大震災から得た教訓をしっかり受け止め,次世代のために安心して安全に暮らすことのできる未来をつくることが私たちの責任であると思います。 京都市は,琵琶湖疏水計画で日本初の水力発電所を建設し,また世界的なCO2削減を目指すCOP3が開催された地であります。世界の文化首都を目指す京都市,そして最先端の技術力と最先端の研究が集積している場所であるからこそ,今京都市が世界的な視野に立って果たすべき役割が問われているのではないかと考えています。震災以降,CO2という指標だけでは環境を語ることはできなくなりました。日本は自分だけのことを考えるのではいけません。私たちが解決すべき課題,世界に向けて範を示す責務はより大きく高度なものとなっています。今後,京都市の長期的なエネルギー供給をどのように考えているのか,地球温暖化対策条例,地球温暖化対策計画をどうするのか市長のビジョンをお聞かせください。また,全国,世界に先駆けてエネルギー分野でも京都方式を構築していただきたいと考えますがいかがでしょうか。 最後に,いじめの問題についてであります。京都市においては,以前からいじめに対して積極的に取り組んでこられています。客観的指標となるいじめ認知件数は,実態把握に地域差があるかもしれないとはいえ京都市では全国平均を下回っており減少傾向にあります。しかしこれで満足していてはいけません。まだまだできること,やるべきことはあると考えています。京都市教育委員会では,未然防止対策として電話相談窓口を三つ開設,専門の方と電話で話すことができ,24時間年中無休の窓口もあります。また,いじめだけではなく不登校の子供を対象にしたポータルサイトも4月から開設され,従来になく関係機関をまたいだ情報の集約と提供がなされています。しかし,このような取組を周知しきれていないのではないかと感じます。子供たち,保護者,教育者,地域の方々など,多くの方にこの窓口の存在を知っていただき,誰でも利用していただける体制を作る必要があるのではないでしょうか。分かりやすいホームページの作成や紙での配布はもちろんですが,学校内や児童館への掲示,地下鉄の車両内に掲示,京都市広報版の枠に目立つステッカーで張るなどふだんから目に付くような場所への常設掲示を是非心掛けていただきたいと思いますが,お考えがあればお聞かせください。 将来どうなるのか不透明なことが多く,不安に感じる世の中です。次世代に少しでも安心してもらえるよう責任ある行動と判断を行い,自信を持って次世代に受け渡すことのできる京都市をつくり上げていきたいと考えています。市長も同じ考えであると思っています。私たちが抱えている不安を払拭できるような市長の御決意を最後にお聞かせいただきたく思います。2日間にわたる代表質問も私で最後です。市長の誠意ある分かりやすい御答弁をお願い申し上げ,以上で私からの質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(大西均) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 清水ゆう子議員の御質問にお答えいたします。 京都市のエネルギー政策についてであります。今年の夏の節電の成果は,市民の皆様の高い志と行動の賜物であり,私は,こうした京都の持つ高い市民力,地域力が,省エネ型ライフスタイルへの転換を推進し,ひいては将来にわたって持続可能な暮らしやまちづくりに大きく寄与するものと確信いたしております。そのため地域に根差したエコ活動を学区単位で展開するエコ学区の取組や,市民の誰もが再生可能エネルギーの普及拡大に主体的に参画できる市民協働発電制度をはじめとする市民力,地域力を生かした協働モデルの取組を積極的に推進してまいります。また現在,我が国全体で中長期のエネルギー政策や地球温暖化対策の再構築についての議論がなされております。本市におきましては,産業界,大学,行政,地域が連携して,エネルギーの地産地消とマネジメントを実現するスマートシティの構築や省エネ・創エネ・蓄エネに関わるグリーンイノベーションによる環境,エネルギー産業の振興,さらには,「都市油田」と評価されるごみからのバイオエタノールの製造や生ごみからのバイオガス化施設など先導的,先駆的な取組を着実に推進し,京都ならではの地球温暖化対策,エネルギー政策を積極,果敢に構築してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(大西均) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 女性の活躍の場の拡大についてでございます。京都が世界の京都として輝き続けるためには,女性も男性も一人一人がその個性と能力を十分に発揮することができ,生き生きと活躍できる男女共同参画の一層の推進を図る必要があると考えております。本市では,平成15年に制定した京都市男女共同参画推進条例に基づき,仕事と家庭の両立や女性の就労意欲の向上など女性が能力を発揮できる環境の整備に努めてまいりました。具体的には,女性の能力の積極的な活用や仕事と家庭生活の両立などに取り組む企業等を応援する「きょうと男女共同参画推進宣言」事業者登録制度の実施,企業へのアドバイザーの派遣,育児休業パワーアップ講座の開催,女性の就業継続支援など男女が共に安心して働き続けられる環境づくりに取り組んできたところであります。また,保育所の待機児童の解消や多様な保育サービスの提供など子育てに関わる負担軽減等に取り組むとともに,今年度から「真のワーク・ライフ・バランス」推進計画に基づき仕事と子育てや介護の両立に取り組む企業を支援するための新たな補助制度を創設したところであります。清水議員御指摘の,今般の全国知事会の提言については,本市のこうした取組と同じ方向性が示されたものであると考えております。今後とも長時間労働の解消や子育て支援策の充実等による真のワーク・ライフ・バランスの推進により,出産,子育てに関わる期間の女性の労働力率が下がる,いわゆるM字カーブの解消や女性の活躍の場の拡大に努めてまいります。以上でございます。 ○議長(大西均) 田中人材活性化政策監。 〔田中人材活性化政策監登壇〕 ◎人材活性化政策監(田中照人) 女性職員の採用及び登用についてでございます。 本市では,多様化する市民ニーズに対応し質の高い行政サービスを提供するため,これまでから意欲,能力の高い女性職員を,それぞれの適性を考慮しつつ様々な部署に配置しております。御指摘の,豊富な職務経験を持つ優秀な人材を即戦力として活用することは重要な視点であり,本市においてもこの間,民間企業等職務経験者採用試験の受験要件を緩和し,幅広い年齢層や様々な職歴を持った方が受験しやすい環境整備を行ってきております。今後ともこの試験制度の周知,活用を図り経験豊富で優秀な女性を採用してまいります。 次に,女性職員の登用についてでございますが,本年4月1日付けの事務職の係長昇任者に占める女性の割合は過去最高の43.2パーセントとなり,また,係長級以上の職員全体に占める女性の割合は,人材活性化プランに掲げた20パーセントの目標を達成いたしました。あわせて,これまで女性が配置されていなかった市政の重要施策を担う枢要なポストにも積極的に抜擢し大いに活躍していただいております。その一方で更なる幹部職員への登用や,より一層の昇任意欲の喚起といった課題があり,そういった点も踏まえまして今年度中に次期人材活性化プランを策定し,女性の視点が市政の隅々に行き渡るよう引き続き女性職員の積極的な登用を図ってまいります。以上でございます。 ○議長(大西均) 生田教育長。 〔生田教育長登壇〕 ◎教育長(生田義久) いじめ問題の対応策についてでありますが,議員御指摘のとおり,いつでも気軽に相談できるよう相談窓口を広く周知することが極めて重要であると認識いたしております。本市では,全保護者に配布しております家庭教育新聞「あしたのために」や,小学校新入生を持つ保護者向けの啓発冊子「子どもの心と親のかかわり」,さらには市民しんぶんへの掲載など広く保護者,市民の皆様に相談窓口を知っていただけるよう周知に努めてまいりました。また,本年4月に新たに開設しました「不登校の子ども支援サイト」へのいじめ相談の窓口情報の掲載や,社会を明るくする運動推進委員会などの関係機関,団体の発行する様々な媒体も活用させていただき幅広い広報を行ってまいりました。今後議員の御指摘を踏まえポスター,ステッカーの作成,掲示や児童生徒向け相談窓口紹介カードの配布拡大,さらには全生徒が所持する生徒手帳への記載,各学校のホームページヘの相談窓口の掲示等も実施するなど児童生徒にとって分りやすい周知方法を工夫し,情報提供をより一層充実してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) これをもって一般質問を終結いたします。本日は,これをもって散会いたします。 〔午後4時38分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~             議長    大西 均             副議長   山岸たかゆき             署名議員  島本京司             同     とがし 豊 △(イメージ)陳情文書表「受理番号23」「緊急通報システム事業の制度改正の撤回」・陳情文書表「受理番号24~53」「市バス路線の改善」 △(イメージ)陳情文書表「受理番号24~53」「市バス路線の改善」...